法治の徹底と正確な状況判断求められる

日付: 2011年11月02日 15時10分

 ソウル市長選で汎左派の無所属朴元淳氏が当選した。今までの政党政治体制そのものを否定する無所属の親北左翼候補が、南北対峙の韓国で首都ソウルの首長に就いたのはまさに「政変」だ。
 そもそも、朴氏は自由民主主義の大韓民国の公職に就いてはならない人物だ。祖国を恨む歪んだ価値観を持つ彼は、今まで事あるごとに親北・反韓・反米を貫いてきた。国家保安法撤廃や駐韓米軍撤退、済州海軍基地建設反対などを主導してきた。昨年の天安艦爆沈や延坪島砲撃でも、被害者である大韓民国と李明博政府に責任があると言い、金正日を擁護した。
 朴氏は学歴詐称、反逆的思想や言動、不透明な公私生活、彼が立ち上げた各種団体の巨額の募金にまつわる疑惑にいたるまで、正常な社会なら出馬の資格もない人物だった。投票日の前に複数の嫌疑で検察に告発されたが、彼と左翼陣営は選挙運動過程でも破廉恥な煽動や違法行為を憚らなかった。
 朴氏は以前から、悪法は法でないため、守らなくてもいいと言ってきたが、朴氏の陣営は投票日前夜、「(朴氏の不法嫌疑に対する)検察の捜査を阻止するために圧倒的に勝たねばならない」と言い、「選挙法に違反してもたかが警告だ」と言ってのけた。数をもっての法治への挑戦で、自由民主主義の要である選挙制度を形骸化する暴挙だ。
 投票日の午後は、出口調査で勝っていることを知りながら負けていると悪質な嘘をつき、有権者と全国民を欺いた。
 この左翼陣営の違法無道な振る舞いに対して公正選挙管理の責任のある選挙管理委員会や関係当局は正当に対応せず、常識的国民に深い挫折感を与えた。

敗北の責任は李大統領に

 今回のソウル市長選挙は世代間の対立や、若い世代の既成政党への反感の爆発という側面も確かにある。だが実は、朴元淳候補を中心とする左翼勢力は、長い間周到な準備をして今回の奪権闘争に備えてきた。左翼勢力はインターネットのコミュニティーサイトを利用して伝統的な政党政治・代議政治の弱点を衝く戦術を駆使した。
 左翼勢力は、経済的に苦しみ生活や未来への不安と不満が積もっている有権者層を、無償福祉というポピュリズムで狡猾に煽動した。左翼勢力は、韓国社会を1%対99%が対立する社会と設定し、既存の政党体制は1%の既得権だけを代弁するものとして否定し、社会を変革、つまり革命する機会として今回のソウル市長選挙に臨んだ。
 親北左翼人士に首都ソウル市政の掌握を許した事態への根源的責任は李明博大統領にあると指摘せざるをえない。
 この異常な不安状態や混乱は、法治の欠如がもたらしたものだ。李大統領は執権当初から法治をないがしろにしてきた。「狂牛病デモ」から始まって、最近の韓進重工業の労使問題に端を発した「希望のバス」騒動、済州海軍基地建設反対など、法の執行を放棄し、中道や「社会統合」にばかりを訴えてきた。従北左派に無法な闘争空間と煽動を許したのは、臆病で優柔不断な大統領自身だ。

疑惑や違法行為の徹底調査を

 今のところ親北左翼の戦略戦術は成功しているように見える。すでに「左派市民団体」の勢いに吸収されつつある民主党はもとより、与党ハンナラ党も政党政治への反乱に対して真っ当な対応どころか、正確な状況認知もできずにいる。
 来年4月の国会議員選挙まであと半年を切っている。その8カ月後には大統領選挙だ。だが、李大統領は、ソウル市長選挙後、 若い世代の意を重く受け止めると言って、左派に迎合する卑怯な態度を見せることで今後の状況主導を放棄した。これでは今後の選挙で公正さや秩序は期待できない。
 法治の確立は自由民主主義の前提条件である。特に、選挙での当選が免罪符になってはならない。ソウル市教育監選挙でも候補買収で当選者が逮捕された。朴元淳市長当選者に対する各種の疑惑や選挙法違反に対する厳正な捜査を促し、健全な愛国勢力の奮闘を期待する。


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