羅卿瑗-全元策の競争と候補一本化

ソウル市長選挙(10.26)は、骨髄までの左翼への骨髄までの右翼の攻勢であってこそ216万票が動く。
日付: 2011年09月15日 00時38分

鋼鉄軍靴
韓明淑元総理がソウル市長選挙に不出馬を宣言した。韓元総理は、「私はこれから民主党の革新、野党と市民社会の統合、そして2012年総選挙勝利と政権交替のために渾身の力を尽す」と主張した。
どうせ韓元総理は賄賂収受で裁判中であるためソウル市長選挙に出難しい立場だった。それを野党圏統合と来年の政権交替のための自己犠牲として包装する偽善が憎たらしい。
何れにせよ、これで野党-左翼統合候補は早くも朴元淳弁護士に決まる構図だ。これからの政治日程も結局はこれを貫徹させる手順であるだけという予測が支配的だ。

民主党はもちろん、文在寅で代表される「親盧勢力」、そして彼らの外郭の左派市民社会の力学から朴元淳に挑戦する位置の人物はないように見える。50%を超える支持率を現実で確認した安哲秀さえ条件なしに候補を朴元淳に譲歩したのではないか? 第一野党という民主党の中でソウル市長出馬を宣言した人が何人かいるが、党内予備選さえ完走しにくい弱体候補たちだ。

ハンナラ党のソウル市長候補?
問題はハンナラ党の候補だ。ハンナラ党は選挙を40日余り残している現在まで候補を決められずにいる。これは何よりも党内の力学構図のためだ。
「安哲秀現象」を招いた張本人で既にレームダックになった李明博大統領は、「来るべきことがきた」という観戦評を言うだけ、力が無い。ハンナラ党最高の実力者である朴槿恵議員も積極的な立場の表明がない。むしろ時ならぬ「安風」(*安哲秀突風)に衝撃を受けた様子だ。洪準杓代表も党内の力学関係の整理や状況をリードできない。
世論調査だけで見れば、ハンナラ党内でソウル市長候補者たちの中で最も競争力のある人は羅卿瑗(ナ・ギョンウォン、*左写真)議員だ。
だが、党の一部では「ソウル市長と大統領候補に共に女性が出るのを国民が容認するだろうか?」という懐疑論が根強い。それで朴槿恵陣営が羅卿瑗議員を拒否している話も聞こえる。
党内の少壮派などからは金滉植総理の徴発を言い出してもいる。笑わせる話だ。湖南出身で、温和な人柄に行政能力が検証されたとのことだが、とんでもない話だ。今、国民、特に若年層の中で金滉植総理に対して知っている人が何人だろうか?
こういう状況を見るに堪えず、右翼の市民団体の一角で自由民主の市民候補推戴に乗り出したが、結果は楽観を許さない。
ソウル市長選(1026)は「価値戦争」である!
こういう状況である時ほど右翼陣営は「原則」を守らなければならない。まず、今回のソウル市長選挙は「価値の戦争」でなければならない。政治は「価値」を求めるものでなければならない。それが原則だ。今回のソウル市長補欠選挙はより一層「価値の戦い」でなければならない。その理由は以下の通りだ。
一つ、今回のソウル市長補欠選挙は、去る8月24日の住民投票の延長線上にあるという点だ。
8月24日の住民投票当時、ソウル市有権者の25.7%がハンナラ党の袖手傍観と野党・左翼の投票拒否-公開投票の中でも投票場へ向かった。左翼と野党の投票拒否を勘案すれば、投票した人々の大部分は無償給食反対勢力であり右翼的価値に忠実な有権者だと看做さねばならない。
彼らは自分たちの投票にもかかわらず、投票箱も開けられなかった現実に対して怒っている。彼らは昨年6月2日の地方選挙で呉世勳を支持した数字よりも多い。したがって、この人々をまとめるのが今回のソウル市長補欠選挙で勝利する近道だ。
もう一つは、朴元淳という候補の理念的性格のためだ。「参加連帯」だの、「美しい店」だの、「美しい財団」だの、「希望製作所」だのと言い顔を厚く化粧してきたが、彼の本質は「根っからの左翼」だ。
そのような「根っからの左翼」に立向かうためにはこちらでも「根っからの右翼」候補、「価値戦争」も拒まない戦士が出なければならない。
ハンナラ党の一角からは、今回のソウル市長選挙は住民投票(8月24日)の延長で行なってはならないという意見が出ている。「脱理念型選挙」、「生活イシュー型選挙」であるべきで、庶民に歩み寄る選挙でなければならないという主張だ。
大きな錯覚だ。卑怯さの極まりだ。そうしたら、ハンナラ党はソウル市長補欠選挙で25.7%も得られない。
朴元淳という人間自体が「理念」の人間だ。一生を通じて左翼的価値の実現のため邁進いてきた人物だ。そういう相手に順調に人生を生きながら適当に経歴管理をやって来た官僚や政治家、あるいはCEO出身を出すのは話にならない。
朴元淳の前にそのような候補を出すのは、虎の前に餌を投げることにしかならない。
うべきことは右翼の戦士、全元策!
それではどんな人を出さねばならないか? 繰り返し言うが、「右翼の戦士」、それも李明博政権の借りから自由で、ハンナラ党の力学関係から自由で、右翼市民社会の分裂と葛藤から自由で、さらには今回確認されたソウル市有権者の25.7%、言い換えれば215万票以上を動員できる右翼人士を出さなければならない。その上、肯定的な意味でのショーマンシップと大衆的認知度まで持っていれば錦上花を添えるだ。
そういう人がいるのか? 一人いる。全元策(チョン・ウォンチェク、*右写真)弁護士がまさにその人だ。全元策弁護士はラジオやTV媒体で保守と右翼を代弁する放送人として活動し、左翼の宣伝扇動に毅然たる論理と価値で対応して相手の偽善と偽りを叱責し視聴者の鬱憤と気がかりを解消してくれた人物だ。
「軍畢者(兵役義務履行者)への加算点」論争の時TV討論に出て堂々と軍経歴加算点の正当性を主張した人がまさに全元策弁護士だ。当時彼は軍隊へ行ってきた若者たちはもちろん、彼らを息子や弟や兄とする女性有権者たちを歓呼させ、「全巨星」と呼ばれた。
また、ソウル市(学校)無償給食TV討論の時はどうだったのか? (一部無償給食による)「烙印効果が恐ろしいなら学生たちに制服を着せろ!」、「兆(という単位)がお隣りの犬の名前か?」という寸鉄人を刺すの発言で無償給食主張者たちの鼻面をぺちゃんこにしてやった人が全元策弁護士だ。天安艦事態、対北食糧支援、自衛的核武装などに関しても、全元策弁護士は言うべきことは言ってきた。
全元策弁護士は闘鶏だ。朴元淳でも誰でも左翼-野党候補との戦いでつまらないことを言って後ずさりをしない人だ。誰とTV討論をさせても自分の哲学からの才覚と瞬発力で相手を制圧する人だ。
そういう人物が選挙戦に出て右翼の価値を伝播することだけでも大きな成果だ。人々は多分「右翼にもあんな人がいるな。右翼もあんな人を発掘できるな」と言いながら刮目するだろう。
全元策-羅卿瑗の候補一本化
もちろん、ハンナラ党からも右翼的価値を具現できる候補を出せれば良い。
現在としてはハンナラ党内では羅卿瑗議員がそれなりに「価値選挙」が期待できる人物だ。彼女は8月24日の住民投票に明確な信念を持って臨んできたし、住民投票に消極的なハンナラ党の指導部を批判してきた。
ハンナラ党内では羅卿瑗議員が、外では全元策弁護士が善意の競争をやれば、意外に良い興行になれる。左翼-野党陣営が早くも朴元淳で一本化する雰囲気の中で、右翼陣営では全元策-羅卿瑗の二人が競争して適当な時期に候補一本化をすれば「興行」になるはずだ。
繰り返し強調するが、重要なのは今回のソウル市長補欠選挙が「価値選挙」にならなければならないということだ。そしてこのために全元策は良いカードになれる。
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羅卿瑗議員に集る期待感
「羅卿瑗+呉世勳」コンビは人格、理念、専門性で「安哲秀+朴元淳」より勝る。 二人は、ハンナラ党(朴槿恵)の既得権体制を破って既成政界の現状打破を先導できる人気を取った。
趙甲済
10月26日のソウル市長補欠選挙に出馬しないことにした安哲秀ソウル大学融合科学技術大学院長の支持勢が、与野党の候補たちに等しく分散する結果になったとソウル新聞が報道した。世論調査専門機関であるリアルメーターが9月6日の安院長の不出馬記者会見直後に実施したソウル市長予備候補に対する世論調査で、ハンナラ党の羅卿瑗最高委員が27.2%の支持率で韓明淑元総理(15.3%)や朴元淳(*左写真)「希望製作所」常任理事(14%)を抜いて支持率1位を占めたという。続いた孟亨奎行政安全部長官(6.6%)、鄭雲燦元国務総理(4.9%)、民主党の朴映宣政策委議長(3.1%)、民主党の千正培最高委員(2.8%)の順だった。
安哲秀院長が37.4%の支持率で1位を記録した9月4日のリアルメーターの世論調査結果に比べて羅最高委員は支持率が13%ポイント上がり、朴理事は11.9%ポイント、韓元総理は1.1%ポイント上昇した。
両者仮想対決の場合、羅最高委員の支持率は41.7%で、朴元淳理事(37.3%)を誤差範囲内の4.4%ポイント抜いた。野党の単一候補として韓元総理が出る場合も羅最高委員(44.7%)は韓元総理(38.3%)を5.5%ポイントの差で勝つ。
色々な世論調査を総合すれば、ハンナラ党が出せる競争力のあるソウル市長候補は羅卿瑗議員だけのようだ。問題はハンナラ党の二人の実力者である朴槿恵元代表と洪準杓代表が露骨に羅議員を牽制しているということだ。だからと言って、二人が羅議員に代える人物を準備したのでもないようだ。スウェーデンよりも人口の多いソウル市長選挙である人物の人気を急造することは不可能だ。朴槿恵氏と洪準杓氏が無理をして羅議員を候補に出さないとハンナラ党がソウル市長選挙で負ける可能性が高く、その結果は二人にも致命的な打撃になるだろう。洪代表は退陣を強いられ、朴元代表は支持率の暴落で主導権を失うことになるだろう。
一方、呉世勳市長を支持して税金給食関連住民投票運動を導いた市民団体の一部は、独自に市長候補を出そうとする動きを見せている。彼らは8月24日投票所に行った約216万人のソウル市民を勢力化して自由民主的価値を護れる候補を出す考えだ。8月の住民投票に微温的だったハンナラ党と朴槿恵氏に敵対的な人々が主軸だが、理想的な候補を探すのに苦心している。現在の最も有力に言われる人は朴世逸元ハンナラ党議員だ。
8月24日の投票後ハンナラ党は急変状況の中で指導部が方向感覚を喪失した様子を見せている。朴槿恵勢力が主導権を握ったハンナラ党は、その朴槿恵議員が保守層から集中的に攻撃されて力を失っている。こういう状況は羅卿瑗議員にはむしろチャンスだ。圧倒的な人気を武器としてソウル市長選挙に対する自分の立場を闡明すれば、安住しようとするハンナラ党の既得権体制に衝撃を与え既成政界にも新しい活路を開き、右派陣営主導の政治ドラマが作れる筈だ。
彼女が選択できるのは次のように幾つかが考えられる。
1案:ハンナラ党のソウル市長候補に出馬すると宣言し予備選の方法を提示する。ハンナラ党の党員だけの選挙戦でなく、急変する民心を反映した一種の国民選挙(ハンナラ党員+住民投票に参加したソウル有権者で選挙人団構成)を提案することもできる。
2案:ソウル市長補欠選挙(10月26日)の意味を提示する。住民投票(8月24日)が定足数未達で開票もできなかったから、10月26日の選挙で「選別的-自立的-生産的福祉か、無差別的-依存的-浪費的福祉か」を結着をつけようと宣言してこそ216万票を再結集させられるはずだ。そうすれば選挙戦で呉世勳前市長の支援も期待できる。羅卿瑗議員は住民投票運動に最も積極的に参加した人と評価されて呉世勳支持者らの間でも人気が高いほうだ。呉世勳氏が羅卿瑗キャンプの選挙事務長にもなり得るのではないか。「羅卿瑗+呉世勳」チームは人格、理念、経験、特に専門性で「安哲秀+朴元淳」に勝るコンビだ。呉世勳氏が修道僧のように過ごせばまもなく忘れられる。特に今回の市長選挙で左派候補が勝てばハンナラ党は「呉世勳が無駄な賭博をしてこの苦労をさせた」というふうに彼を生贄にするだろう。羅卿瑗氏が勝てば呉世勳氏の影響力は維持される。今回の選挙は呉世勳氏の政治的命運がかかる。体面を考える余裕がない。
3案:ハンナラ党指導部が公正な選挙戦を保障しないと、離党して216万票を示した自由陣営の市民候補として出ると爆弾宣言をすることだ。この可能性は最も低く見えるがだから衝撃は最も大きい筈だ。
*安哲秀-朴元淳の一本化ショーは、ハンナラ党と民主党の既得権体制に衝撃を与えた反面、羅卿瑗議員への期待値を上げた。彼女は朴元淳氏を抜く支持率を示したことでこのショーの最も大きい受恵者になったわけだ。これを適期に活用すれば既成政界の現状打破のための歴史的役割もできるだろう。この話はもちろん局外者の暇な論評だ。

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