趙甲済
米国と南ヨーロッパ国家(ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリア)の国家負債の危機が世界経済の危機を招き韓国もそのまん中で被害を受けている。国家負債危機の共通点は、政府が福祉部門に過度な巨額のお金を費やしたためだ。今日の世界的経済危機は「福祉ポピュリズムの危機」と呼ぶに値する。危機の元兇が低質政治家たちの扇動的福祉公約であることが明らかになっても、韓国の政治はその亡国の道を辿っている。愚かな国民は分別力を失ってこういう扇動家たちを当選させる。政治屋は有権者の左側のポケットのお金を盗んで右側のポケットに入れてやりながら天使のような振りをし、有権者は「ありがとう」と感激する。
国民教養の基礎の弱い社会では、大衆民主主義が扇動屋と詐欺師らに利用されて国家を分裂させる。目前でそういう扇動の結末がもたらした世界経済の危機を見ながらも、ハンナラ党や民主党や民主労働党は、福祉ポピュリズム競争で国民を騙して政権を維持しようとし奪おうとする。国民のお金で選挙運動をし恩着せがましくする行為が、「無償福祉」という詐欺的用語を以ってその危険性が隠蔽される。福祉にかかるお金は空から落ちるもので誰も返済しなくても良いものという印象を与える。すべての詐欺は名詞(言葉)の詐欺だ。ハンナラ党の院内代表という者は「0才の嬰児に対する無償保育には1兆ウォンも掛からない」と言った。1兆ウォンなら建築費1億ウォンの家を1万軒建てられるお金だ。1万軒なら約3万人が住める。郡の人口だ。1つの新都市を建設できる規模の国民税金を強制する公約を発表しながらまるで餅代のように言う。
米国は2030~2040年の間に社会保障、医療保険、医療保険で支出されるお金とその利子の負担が連邦政府の全体予算を超過するようになる。経済成長が低く、人口は高齢化しているためだ。こうなれば国防費と治安経費と教育費は国債を発行して執行せねばならないということだ。米国の国内総生産対比国家負債の比率は100%だ。日本は200%だが国債の所有者がほとんど国内人なので不渡の心配はない。福祉ポピュリズムで揺らぐヨーロッパ国家らは国内総生産対比国家負債の比率がスペイン74%、ポルトガル97%、イタリア130%、アイルランド93%、ギリシャ130%だ。韓国はこの比率が35%前後と発表されているが、ヨーロッパの会計基準を適用すれば80%以上という主張に説得力がある。
地方に行くと人口20万人の都市がソウルの政府総合庁舎よりも大きい市庁建物を持った場合が少なくない。閑静な4車線道路を走ると前後2~3k mに自動車が一台も見られない時もあって滑走路を連想させる。利用者が一日数十人の空港もある。ワールドカップのために建てたサッカー競技場は年間数十億ウォンの赤字だ。こういうものを見る度に「このように浪費してどう国が持つだろうか」という原初的な疑問を感じる。「このように費やす人々は人気を得て、そのように費やせるように熱心に黙黙とお金を稼ぐ人々は非難される社会が果たして長く持つだろうか?」という心配もする。
福祉ポピュリズムの根底には強盗の心理がある。誰かが私に財閥会長の息子のお昼代や教育費を出せと強要すれば、「この強盗野郎!」と怒りながら寝る時そばに置く野球バットで頭を殴る。政治家が中間に割込んで「税金強制給食」や「授業料半減」を政府の政策にすると私は合法的に集れる。
福祉ポピュリズムの根底には無料心理がある。この無料心理が略奪として現れる。彼らは略奪を覆うために、まず自分たちが搾取されていると騒ぐ。国家機関を動員して、金持ちや誠実に生きている人々のお金を略奪しながら金持ちらに感謝どころか「君たちが搾取したお金を取り戻すだけだ」と自慢する。ハンナラ党の代表という者は、空中波放送とのインタビューで「大企業と言ったら、まず搾取という言葉が連想される」と言い放った。
福祉ポピュリズムの理念は社会主義だ。社会主義が、政治的に表現されるとスターリン、毛沢東、金日成のような悪魔的全体主義を作り、経済的に表現されれば資本家の弾圧と浪費的福祉となる。資本家を抑圧したら税金が沢山収められず福祉が不可能だ。それなのに社会主義者は福祉予算を増やす。人気を上げるため増税の代わりに起債を選択するから国家負債が増える。社会主義や共産主義と通称する左翼は悪党の弟子たちだ。共産主義という災難に引続き、国家不渡り事態という二番目の災難をもたらした者らだ。
韓国人は共産主義によって数百万人が死ぬ戦争を体験し、国際共産主義が滅びる様子を見ても、それにも足りず左派的政治勢力がもたらした国家負債による世界経済の危機に遭ってもこの悪の勢力が政界を牛耳るのを許した。韓国人は強盗を居間に招き入れた。血を流しながら戦って強盗を追い出すか、強盗に家を渡し街頭に出るかの決断を強いられている。