金成昱
1.李明博大統領は政治が分かっていない。去年の光復節で大統領が言及し、来月の15日発表される「統一税」の導入もそうだ。北韓が滅びつつある色々な情報を聚合した後下ろした結論が「統一のための税金を新設しよう」ということだ。
統一すれば、どれほど多くの便益と利益と働き口が生まれるかを語らない。2千万同胞解放の道徳的名分も話さない。
大統領はもちろん、ハンナラ党や青瓦台も同じだ。地獄同然の北韓を天国にした後のビジョンや希望には沈黙したまま税金を納めるという話から言い出すから生活の苦しい国民を当惑させる。統一を一層嫌わせる反統一的な宣伝だ。大衆を理解せず、大衆をどう説得し説明して導いて行くかを考えない本当にすごい政権だ。
2.すべてのことがこういう有様だから従北勢力の偽りと扇動が全国を混乱させても国民に真実を伝える努力はしない。
2008年の「米国産牛肉狂牛病」乱動、2009年の「龍山事態」と「双龍事態」、2010年の天安艦爆沈と延坪島砲撃が起きても、「米国産牛肉を食べて狂牛病にかかった人は一人もいない」という真実、「龍山事態の時警察の鎮圧は正当だった」という真実、「双龍事態の時、従北勢力が介入して73日間無政府状態になった」という真実、盧武鉉と金大中の「太陽政策」がもたらした北韓の大量殺傷武器(例えば、中国より多い世界4位の潜水艦能力など)の実体を国民に訴える声は政権内部からほとんど出ない。
用語もそうだ。「統一税」の代わりに「北韓開発費用」、「北韓再建費用」、「韓半島発展費用」など良い単語が多い。私は学生たちに会う時は「安保講義」の代わりに「成功学講義」と呼ぶ。国家を成功させ自分も成功する秘法が安保であるためだ。
今日読んだ「分断管理から統一対応」という本(2010年12月、統一研究院刊)は、「2020~2035年頃自由統一を想定する時、10年間の統一費用は当時GDP対比6.86~7.13%だが、統一便益は同じ期間GDP対比11.25%の経済成長率が予想される(申昌旻中央大名誉教授、「統一費用および統一便益」)」と分析した。
筆者の1人である申名誉教授(左写真)は、自由統一後の軍兵力の産業人材化だけで2.6%のGDP成長、Buy Korean政策による生産増加の5.6%など、統一便益を言及しながら「一部社会指導や一般国民の認識に根本的誤りがある」と指摘する。李明博大統領も彼が指摘した社会指導層に含まれる。
梨花女子大学の曺東昊教授(右写真)は、同じ本の中で「計算しなくても統一便益は統一費用より大きい」と言い、「費用は限定された数字であるはずだが、便益は統一韓半島が地球上に存在する限り永遠に生まれる無限大」と言う。
彼は、「既存の統一費用議論は便益を考慮しない、つまり便益を引いた純費用(net cost)でなく総費用(total cost)と捉えている」と言い、「例えば、北韓経済を韓国経済の50%水準に引き上げることは韓国の2000万台の自動車中1000万台を北韓に与えるということなのに、そうしても北韓には運転できる人がいない」として、「こういう形の統一費用論理はとんでもない計算」と言った。
統一費用が投資性費用なのか消耗性費用なのかも問題だ。つまり、統一費用は基本的に現金が北韓に無条件与えられることでなく、北韓にそれだけのインフラを建設することだ。曺教授は、「北韓に高速道路を10路線建設するなら、経済力が足りない時はまず7路線を建設し3路線は既存国道を利用する、つまり、われわれの経済能力に合わせて利用すること」としながら、「こういうことを考慮せず金額だけを言うから、とんでもない巨額の統一費用が産出される」と指摘した。
3.統一費用を憂慮する理由は、費用は初期に多く必要で便益は時間をかけてゆっくり発生するためだ。だが、これはいつかは払わねばならない「投資性」費用を子孫たちに回す利己的発想だ。
曺教授は、これを手術費用に比喩する。すなわち、「統一費用のために統一を先に延ばす心理は、病気の妻の手術費用が高いから妻を死なせるべきという心理」と言い、「統一費用の核心は、必ずやらねばならない統一を、どの世代が負担するのかの問題」という。
自由統一後、南韓の人々が北韓住民の最低生計費の責任を負うことを心配するのも荒唐なことだ。今殴られて死に凍って死ぬ北韓の人権も話さない人々がだ。南韓住民の最小限の義務は、北韓で燃え上がっている地獄の火を消すことだ。北韓の解放と救援後の暮らしは心配する問題でない。すでに北韓で市場を通じての生活者が80%に達しているのではないか? 今重要なことは、「統一税金」の宣伝でなく自由統一後の強大国建設へのビジョンを韓国人に与えることだ。