金泌材
北京を訪問して中国共産党の軍高位層から偉い説教(?)を聞いた金寛鎮(国防長官)氏が、韓・米・日お三角同盟体制構築問題に対して、「そのような同盟は現在考えていない」と言った。
核を持った中共と北傀を頭の上に載せている国が、米・日と同盟するつもりがない? 金氏の主張は大韓民国が共産主義になっても構わないという言葉に聞こえる。
彼はまた、北核に対応して米国の戦術核を再配置しようという主張に対して「公式的には非核化原則に賛成する」、「(米軍の)戦術核はわれわれのものでない。持ってくると言って持って来られるものでない」と否定的見解を表明した。ではいったいどうしようと言うのか?
金氏はここで「(韓半島の)非核化」という表現を使ったが、非核化という表現は国防長官が軽く使ってはならない表現だ。ひょっとすると北傀(の主張)を擁護する表現になるからだ。
金正日政権が主張する韓半島の非核化(=朝鮮半島の非核化)には前提条件がある。それはまさに今まで米国が韓国に提供してきた「核の傘の撤廃」とともに「駐韓米軍の完全な撤収」である。
代表的な親北左翼団体である「南北共同宣言実践連帯」は、2007年8月1日付の分析と展望を通じて「韓半島非核化」の意味を次のように説明している。
<<元国連代表部次席大使だった韓成烈北韓軍縮平和研究所の代理所長は、7月4日、英国のシンクタンクのチェタームハウスでの演説で、「韓半島の非核化は、偏に米軍撤収などを通じての米国の敵対的措置の中止と北・米の核廃棄のための同時的措置の履行を通じてのみ可能だ」と言ったことがある。
これは米軍撤収が核兵器廃棄の前提であるという意味であり、今後非核化の推進過程で駐韓米軍問題を必ず提起するという意志と思われる。去る2007年7月13日、「朝鮮人民軍板門店代表部」の代表は、談話を通じて「停戦協定第17項の要求により、協定第60項を含む朝鮮半島の平和と安全保障と関連した問題らを討議するため、双方が合意する任意の場所でいつでも国連代表も一緒に参加する朝・米軍部間の会談を行なうことを提案」した。
停戦協定60項は、「双方が一つ高い級の政治会議を招集し韓国からすべての外国軍隊の撤収および韓国問題の平和的解決問題らを協議」するということだ。韓半島の非核化のためには60項の履行、すなわち「外国軍隊の撤収」が必ず必要で、そのための北・米軍事会談を提案したのだ。
「朝鮮人民軍板門店代表部」の北・米軍事会談提案は、韓成烈所長の「米軍撤収・非核化論」と通じる。つまり、韓半島の非核化は米軍撤収を通じて実現されるというのが北韓の認識だ。このように北韓は韓半島非核化の推進過程で駐韓米軍問題を必ず決着をつけようとしている。>>
北傀が主張してきた「韓半島の非核化」の上記の意味を、賢い(?)金寛鎮氏が知らないはずがない。にも拘らず、彼は躊躇なく「韓・米・日三角同盟構築」への否定的見解とともに「非核化」という表現を使った。国防長官が職務を遺棄したのだ。
中国へ行って恥を掻いた鬱憤を祖国と米国と日本に晴らそうとする。とんでもない腹癒せだ。