柳根一
多数決の原則がこの国では全く絶滅してしまったのか? 多数派の横暴を自制するため少数派と最後まで交渉しようとする誠意そのものはもちろん良い。だが、そうしても遂に駄目なら多数決で処理するしかない。そうするように有権者が多数党にしてあげたのだ。
にも拘らず韓国の政界は多数決の原則を捨てた。臆病者のハンナラ党のせいだ。韓米FTA批准案はすでに議論を尽した。北韓人権法案も道徳的正当性が言うまでもない明確な法案だ。それでも民主党は死ぬ覚悟でノー(No)という。不思議なことはない。民主党はそういう政党であるから。
問題はハンナラ党だ。怖くて多数決の原則通り処理する勇気が出せないのだ。国会でチェーン・ソーが動員されたり、揉み合いを演じて強行処理して政局が荒れたら、その余波がひょっとして来年の総選挙で自分たちに不利になるのではないかと戦々恐々するのだ。たまには民主党に劣らず「進歩的」であることを自任し消極的でもある。
それならこういうハンナラ党は「あっても無い」ものと言わざるを得ない。多数が多数のなすべき仕事を放棄すればそのような多数はすでに自殺したも同然だ。しかも正しいことを何かが怖くてやれないとは?
民主党は国益のかかった韓米FTAを「再協議」云々して話にもならない口実でサボタージュしている。北韓人権法を「北韓を刺激するのを気にして」、言換えれば「金正日が怒るため」反対している。ハンナラ党が真に歴史的な天命意識のある保守政権与党なら、民主党のこんなごり押しや詭弁に立向かって憤怒し闘争するのが当然だ。ハンナラ党にはそういう意識が全く見られない。
大韓民国陣営はこういうハンナラ党に最後通牒をする時がきた。ハンナラ党は韓米FTAと北韓人権法を(国会表決に)職権上程せよと。そして多数決で強行通過でもさせろと。そうでなければ自爆しろと。自爆できないなら、ハンナラ党を花嵐のように散らせる決定的な要因は大韓民国陣営の憤怒であると。