趙甲済
民主主義の発達史において最も重要な二つの事件は税金と関連している。1215年英国で制定されたマグナカルタ(大憲章)は、王が独断で貴族に税金を課せられず、自由民は裁判や国法によらなくては自由と生命および財産を奪われないと規定した。このマグナカルタは当時のジョン王と貴族の間に結ばれた約束だ。
税金の賦課と人身拘束を王が勝手に出来ないということを明確にすることで貴族が作った議会の王権への牽制を明文化したのだ。この大原則はその後民主主義制度の必須条件として受容された。
財産と人身の保護は、人間の尊厳性を護ってくれる絶対条件であるため、民主制度はこの権利を徹底に保障せねばならない。1773年12月ボストン港で起きた「茶会事件」(*左の絵)も税金問題だった。英国の植民地だったアメリカの住民たちは、英国が一方的に賦課する輸入茶への関税に反発して東インド会社が輸入した茶を海に投げ捨てた。本国の課税法に反対した理由の一つは、英国議会が通過させた茶法の立法過程でアメリカの住民たちの意見が反映されなかったという点だった。住民たちは自分たちが選んだ代議機関だけが税金賦課権を持つと考えた。これはマグナカルタの精神でもある。ボストン茶会事件はアメリカの独立戦争へと拡大する。米国の誕生を触発させた事件が税金問題だったのが興味深い。当時米国人が打ち出したスローガンがあった。「代表なしでは課税も無い!」 自分たちの利害関係を代弁する国会議員を選出する権限がないなら税金を納める義務も無いという意味でもある。
民主市民は、納税の義務を負うと同時に、税金の用途を質す権限を持つ。今韓国の政治家たちは国民に諮りもせず、莫大な増税を齎す政策らを勝手に決める。保守政党はどの国でも納税者の権利を尊重し、「低い税金、小さな政府、多くの働き口」の政策を推進する。ハンナラ党は納税者を裏切り苛める政策を、申し訳ないという気持ちもなしで図々しく推し進める。そうすることによってハンナラ党と民主党と民主労働党の差が無くなった。
もはや納税者が団結し行動すべき時だ。政治の本質は、国民の税金をどう使うのかである。国民の税金を自分のお金のように使う人間たちを膺懲するためには納税者たちが目覚めなければならない。