節義と廉恥の心失った政治=編集余話 瞻星台

日付: 2011年06月29日 09時53分

 最近の政治状況を見ると「節義、廉恥の心を失うようなことがあれば国家を維持することは決してできない」という西郷隆盛の言葉を思い出す。前首相が現首相を「ペテン師」と呼ぶ。そう唱えている前首相は、影響力を行使しないために議員を辞めると言っていたが、それを反故にしたままだ。政治に品位や節義を感じられなくなった▼東日本大震災や福島原発の被害の復旧・復興をそっちのけで、政界は権力争いに明け暮れている。政治家の発言は朝令暮改。それでも平気だ。役人は役人で何のためらいもなく、福島原発の事故状況を2カ月後に公表する。隠蔽していたともとれる発表内容は、平気で訂正・修正される。国民と向きあっていない証左だろう▼西郷隆盛にはもうひとつ有名な言葉がある。「功のあった人には禄を与えて、能力のある人には位を与えよ」だ。民間企業では人事考課の鉄則だが、今、この言葉の重さを痛感する。昨今は、議員が議員職を続けるために議員であろうとする。首相が首相であるためにその地位を固守する。国民のためでなく、自身のための政治を行っている。政治家自身が信念に基づくステートメントを発することができないから「品」を失ってしまったのだろう▼為政者に潔さを失わせるのは権力の味をしめてしまったからだろう。権力の味は、韓国も同じようだ。韓国は大統領の再選を認めていない。大統領が変わると掃除夫まで変わると言われるほど、その権限は強い。任期を短くしても不正・腐敗がはびこる。それだけ権力には、周りが見えなくなる魔物が潜んでいる。


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