誰もがあきれた。北が南北秘密接触を暴露したことだ。外交慣例にもとり、南北交渉にまた悪い前例が加わった▼北の非核化を目標として「3段階対話」に取り組んだ国際間の一連の動きに、北は先行き芳しからずの判断だったろう。李明博政権を交渉相手と見做さないと宣言。「3段階対話」の「南北対話」から撤収した。全体の入り口と位置づけられていた「南北対話」から逃げたのは、哨戒艦天安爆沈や延坪島砲撃事件に対する謝罪要求は受け入れられないということだったのだろう▼謝罪要求の根拠である軍艦爆沈や延坪島砲撃はそもそも西海海上境界線NLLに対する北の不満に原因がある。北は「NLLは存在せず、あるのは海岸基線から12海里の領海線のみ」と主張して、韓国軍艦や韓国領の島への攻撃を正当化しようとしている。傍若無人な考え方だ▼北がNLLに対する不満をぶつける場所となれば、軍事停戦委員会以外にないだろう。NLLは休戦協定に基づいているからだ。そこで問題提起すれば済むことであり、攻撃は間違いなく「挑発」だ。「挑発」にはきちんとした謝罪が必要だ▼先行き芳しからずという読みは、来年の「強盛大国開門」スケジュールをにらむ北を焦らせているに違いない。米国が北との2国間交渉を留保し、中国が経済支援に改革実行など条件をつけているからだ。だが、ウラン濃縮計画など核開発をやめようとしない北に、制裁解除や条件なしの支援はありえない。北の核放棄は東アジアの平和の必要条件であることを金正日は悟らなければならない。