一流国家の条件

4大条件、つまり地政学的条件、歴史の長さ、国民国家の経験、国民の資質が充たされねばならない。
日付: 2011年05月25日 13時06分

趙甲済
一流国家の条件
「北韓労働党政権を平和的に解体して、『統一され繁栄し強力で自由な国』を作ることが国家目標であり国家意志だ。」
1.国家意志国家目標自由統一
わが憲法は「北韓労働党政権の平和的解体」による自由統一を国家意志と国家目標として明示している。憲法1条は、「大韓民国は民主共和国である」と宣言し、第3条はその大韓民国の領土を韓半島とその附属島嶼とすると釘を刺すことで北韓地域も民主共和国であるべしという国家意志を確実にした。北韓地域を民主共和国にするためには統一せねばならないが、憲法第4条は、平和的方法による自由民主統一を規定している。憲法1、3、4条は大韓民国の正統性と正体性を盛込んだ憲法の脳髄であり心臓だ。これに手をつけるのは国体変更をもたらすため改正不可条項と言われる。したがって、韓国人として生まれれば「北韓労働党政権を平和的に解体し北韓地域まで民主共和国にする自由統一事業のために献身する義務」を負うことになる。
この大韓民国憲法の1、3、4条は韓半島の現実を正確に反映しながらわれわれ韓国人が進まねばならない目標を提示している。韓半島の理念と武装対決の本質は、「民族史の正統性と、生の様式と、善と悪を置いて争う、妥協が絶対不可能な総体的権力闘争」である。
2.国語の正常化による国民教養の再建
われわれの目標は自由統一に止まらない。韓国の最終的な国家目標は自由統一を達成して北韓住民までを自由民にしてから、7000万民族集団が一流国家を建設することによって、その構成員が創造的で幸せに生きることだ。すなわち、「統一され繁栄し強力で自由な国」を作ることだ。韓国のこういう国家目標に同意する周辺国家は現在としては米国だけだ。韓米同盟は自由統一と一流国家建設に必須の条件だ。
韓半島の再統一は、韓民族の団結と民族自決の原則に立ってなされる時どんな外勢もこれを止められない。決定的な瞬間に北韓住民たちの選択が重要だ。北韓住民が南韓の同族と一つになると決断するように今から彼らの心をつかんで行かねばならない。二つの方法がある。人権問題などを根気強く提起し続けて北韓労働党政権を圧迫し、北韓住民への弾圧を弱化させること。それから北韓住民たちへの接近と支援ルートを拡大することで民族的なきずなを強化することだ。対北風船送りや対北放送は北韓同胞を直接助けられる良い例だ。
北韓の自由化は、民主主義の基地である南韓が法治主義を成熟させてこそ可能だ。韓国人は去る66年間、建国-護国-産業化-民主化の4段階の国民国家建設過程を歩んできた。残された課題は、民主主義を成熟させてその力で自由統一と一流国家建設を成功させることだ。民主主義の成熟は法治の生活化を意味する。
法治主義を定着させるためには、政府、政党、言論、大学など、この社会の指導層から憲法精神を行動倫理として信念化しなければならない。反憲法的-反国家的勢力を膺懲し、醇化し弱化させ、「6.15宣言」のような反憲法的政策を廃棄せねばならない。悪党と主敵を膺懲できない国ではいくら良い暮らしをしても統一も一流にもなれない。悪と敵を膺懲できるためには国家エリートの自浄が先決せねばならない。
同時に卑俗語に転落しつつある韓国語を教養語として磨いて行かねばならない。言語が思想を、思想が行動を支配する。韓国語がきれいで美しくならないと国も正常になれない。韓国語の2大表記手段である漢字とハングルの中で漢字を放棄したことで半身不随になった韓国語を復原する道がまさに統一への道であり先進化への道だ。韓国はインターネット使用率は世界1位だが、文盲率が最も高い国だ。(漢字)文盲率70%である国の精神は、いくら良い暮らしをしても3流であるしかない。
3.一流国家4条件
一流国家は福祉と自由と安全がよく保障され創造的文化が花咲く文明国だ。一流国家は、日本を除けば全部西ヨーロッパ国家およびヨーロッパ文明圏から派生した米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダのようなキリスト教の国々だ。こういう国に住むと遣り甲斐があり幸せだ。どういう条件が一流国家を作るのか? 原論的に話せば一流市民と一流制度があってこそ一流国家になれる。重要度の順位で4つの客観的条件が充たさねばならない。
(1) 地政学的条件:世界文明の中心に位置せねばならない。今はヨーロッパと北米、そして東アジアだ。この条件は主に経済を決める。韓国は満点だ。
(2) 国民国家の経験:長くければならない。これは民主主義と法治の経験の長さでもある。この条件は主に政治と行政のレベルを決める。 韓国は60年しかない。
(3) 歴史の深さ:文字を使用した経験、国家を作った経験が長くなければならない。これは文化と芸術の蓄積量を決める。2000年の歴史を持った韓国は充分だ。
(4) 国民の資質:知能指数、体力、性分が良ければ発展速度が速い。国民の平均IQが世界最高で体力も剛健な韓国は充分だ。
韓国は、上記条件の(1)、(3)、(4)が良く、(2)は弱い。国民国家を建てて民主主義式に運営してみた経験が60年ほどだ。一流国家群の中では日本が最も短いが約140年だ。ヨーロッパの国々は大体200年以上で英国は800年だ。古代の民主主義経験を基準とすればヨーロッパは2000年以前のギリシャ、ローマ時代まで遡れる。
韓国は経済力、軍事力、科学技術の分野ではすでに一流国家に進入したと言える。UNDPは人間開発指数(生活の質)分野でも韓国を先進国と分類する。しかし、われわれは統一をどのようにするのかによって未来が決まる国だ。「自由統一」をすれば一流国家、分断の固着が長く続けば3流国家、「赤化統一」されれば野蛮な状態に戻る。
韓国は(2)の国民国家を運営した経験が短いため政治、法治、言論分野が脆弱だ。政治は偽善的名分論や扇動が効く水準だ。法治は権力と世論に振り回される。言論は扇動政治の補助手段化されている。北韓政権の挑戦もある。内外の妨害を克服しこの政治の分野を先進化させてこそ一流国家への道を走れる。
一流国家の中で日本を除けば全てがキリスト教国家だ。イスラム教国家は一つもない。宗教が政治を支配するイスラム原理主義は一流へ進む道を遮る。逆に、北韓のように権力が宗教を弾圧し自ら宗教化されてしまっても発展が停止する。新羅が「護国仏教」を以って政治と宗教を理想的に調和させたのが一流国家を作った一つの秘訣だった。
今の一流国家は、ほとんどが過去に一流国家だったことがある。韓国も7~9世紀に一流国家だった新羅のDNAを受け継いだ。ほぼすべての点で韓国は21世紀に一流国家を作れる条件を整えた。課題は国家エリートの育成と国民教養の涵養だ。国益を中心に行動する国家エリートや教養のある市民層が存在しない状態での民主主義は、詐欺師と扇動屋と反逆者の弄びになる。

閉じる