*この文は24才の韓・ヨルム氏が高校韓国史教科書問題に対して李明博大統領に送った手紙だ。韓・ヨルム氏はこの手紙を10日前青瓦台に届けたが、大統領からの返信はまだ無い。筆者の同意を得て所属や職場などを明らかにせずここに掲載する。
韓・ヨルム
李明博大統領様!
大統領様お元気ですか。私は今大学で勉強している韓・ヨルムと申します。いつも国事のため奮闘される大統領様に心からの感謝と激励を申し上げます。神様が大統領に知恵と勇気を下さるよういつもお祈りしております。
私がこのように手紙を送る理由を申し上げます。4月22日、教育科学技術部の李周浩長官が、国史編纂委員会および歴史教育過程開発推進委員会と一緒に2012学年度の高等学校入学生から「韓国史」を必修課目とするという内容の「歴史教育強化方案」を発表しました。
まず大統領様にお聞きしたいです。歴史教育の必須化とは何のためですか? 対外的に発表されたところによると、「国史教育を立て直さなねばならないという国民的熱望および次世代に歴史意識を強化し日本の独島領有権主張、中国の東北工程など周辺国の歴史歪曲に対応するため」といいます。ところが、「周辺国の歴史の歪曲」の前に、歴史教科書の「筆陣の歴史歪曲」はなぜ看過されたのでしょうか。
大統領様、新しく出版された6種の教科書の歴史歪曲は、不穏書籍と呼んでもいいほど深刻な水準です。2011年から使用している6種の韓国史教科書執筆陣の37人中46%の17人が左翼人士であることをご存知ですか。
歴史教科書はこの国の将来を担う学生たちに国家への愛国心とアイデンティティを植え付け、この国を導いてきた国家指導者たちに対する尊敬心を懐くようにするためのとても重要な通路です。もちろん、歴史の中の過失も正直に直視し反省しなければなりません。しかし、新しく発刊された6種の教科書は、大韓民国のアイデンティティを完全に失った水準を超えて、恰も北韓を称える理念に基づいているようです。
左派と右派を問わず、わが国の歴史を歪曲する行為は絶対容認できず、歪曲された歴史で学生たちを教える教科書を作ることは、国家の自滅をもたらす行為だと考えます。わが国がどのように建てられた国ですか。
1940年代に全世界が社会主義や共産主義の波に飲まれた時、李承晩初代大統領が世界最貧国の国に民主主義と自由市場経済の基礎を築き国家体制を作りました。大統領様も永い年月経済人として活躍されながら市場経済の重要性を誰よりもよくご存知と思います。民主主義に基づかない市場経済は存在すらできません。
右派と左派、保守と進歩を問わず、国家のアイデンティティと正統性を崩す行為は絶対許せません。新しく出版された6種の教科書の反逆的内容の例を提示します。ある教科書では、大韓民国政府を表現するのに「独裁」という言葉を何と15回使った反面、3代目世襲を図々しく進めている「金氏王朝」の北韓政権に対しては独裁という単語をただ5回しか使っていません。三倍も多い回数です。
その教科書は、わが国の民主化と近代化を成し遂げられた李承晩大統領と朴正煕大統領が、北韓の金日成や金正日よりもっと酷い独裁をして国民を弾圧したとのことですが、南・北の現在の実態は全くそうでありません。
李承晩と朴正煕大統領が築いた大韓民国の民主主義と市場経済は途方もない繁栄を齎しました。国民所得3万ドルの時代へ進んでおり、国家競争力は10位圏進入を目前にしています。彼らの主張によればそこまで国民を弾圧し10年以上独裁をしてきたのに、です。
北韓の状況はどうなっていますか? 金日成・金正日父子の肖像画を不注意で落として額縁のガラスが割れた罪で政治犯収容所へ送られてひどい拷問と労働で苦しめられ獣のように生きている北韓住民たち、金正日政権に些細な不平を呟いたために教化所に入れられ犬の餌より酷いゴミを食べて延命せねばならない人々、これがその教科書がいう大韓民国より独裁の度が低いという北韓の実状です。
こういう事実を見ながらもどうして大韓民国の歴代政府に「独裁」という表現を北韓より三倍も使えますか? こういう歪曲は一つの例に過ぎません。
-「6.25戦争」中、国軍が先に良民虐殺を始め、「人民軍」はそれに対する報復で虐殺を敢行したという叙述、
-「ジュネーブ政治会談」で大韓民国を「南側」と扱き下ろす表現、
-「6.25南侵」に対して感傷的文章で始める単元の小題目、
-「人民共和国」と大韓民国が違いがないという主張、米軍が良民を逼迫するように表現したピカソ(共産主義者)の絵、
-国軍は良民を虐殺、いわゆる「人民軍」は人民裁判、
-300万人が飢えて死んだいわゆる「苦難の行軍」に対して、洪水や日照りで多くの人々が死んだものであり、米国の封鎖政策により北韓経済が困難を経験するようになったと叙述し、高級コニャックとキャビアを食べ、乗馬を楽しんで珍しい愛玩犬を飼う金正日の狂的な贅沢に対しては一言半句も触れない記述など、新しく出版された6種の教科書の中の歴史歪曲や従北的思考は、「この本が果たして大韓民国の歴史教科書なのか、北韓の歴史教科書なのか」と見分けがつかないほどです。
この教科書ら中に大韓民国は存在しません。大韓民国のアイデンティティも、国家観も見られません。護らねばならない国がありません。なぜなら、1948年8月15日の建国を建国として認めないからです。「未来Nカルチャーグループ」の教科書によれば、われわれが建国60年を記念する段階でも大韓民国は今も「国家」は無く「政権」だけが存在すると主張します。
大切なわれわれの祖国を、不意に幽霊にしてしまった者たちがどういう経緯で歴史教科書を作るようになったのかまさに痛嘆すべきことです。国家を認めない彼らが大統領は認めるでしょうか。何かの事件さえ起きれば「李明博政府断罪」を叫ぶ彼らにどう教育を任せられますか。
国家のアイデンティティと正統性を護らねばならない教科書の執筆陣の選定過程はもっと衝撃的でした。教育課程評価院の関係者が、「教科書筆陣の選定は、出版社の権限ですので執筆陣の理念性向に対しては何とも言えない。教評は執筆陣の選定に対して法的権限がない」と言いながら責任を転嫁しています。教科書の筆陣の資格要件が定められていない状況では現職教師や教授は誰でも教科書の執筆ができるということです。
国家の未来の指導者になる学生たちが習う教科書を、検証もしない人々に任せたらこの国の未来は想像もできない危険に陥ることになります。6種の教科書の執筆に参加した教授9人中7人が「建国節」制定反対運動をしてきた「歴史問題研究所」や「韓国歴史研究会」などの団体出身です。大韓民国の建国すら認めない人々がどうしてこの国の歴史を教えられ未来が準備できますか。
歴史教科書の問題は保守と進歩勢力を分けるため提起する問題でありません。学生に正しい歴史を教えることが国家と政府の義務であるにも拘らず、現政府をはじめ執権与党のハンナラ党がその責務を完全に忘却しているような態度に息苦しさを超えて怒りを覚えます。
徹底した検証もせず、大韓民国の建国と発展を認めない一部左傾学者たちが作った教科書を使用して「全教組」教師たちが歴史を教えると、青少年は深刻に偏った奇形的歴史観を持つようになります。
この深刻な状況に対して教科部長官だけでなく李明博大統領にも責任を問いたいです。大統領の核心的任務は、「国家のアイデンティティを維持し守護すること」です。「大韓民国の正統性(民族史の唯一の合法正統国家)とアイデンティティ(自由民主主義、市場経済)」、これこそが教科書に盛込まれねばならない核心価値です。こういう価値に従わない人々が大統領様を補佐すれば国家は進むべき道を失って彷徨うことになります。
人類が望む価値は自由民主主義です。絶対に共産主義や社会主義でありません。社会共産主義がすべて崩れた21世紀に人類の歴史に逆行する価値を主張する「全教組」や左傾学者たちの言葉に耳を傾けられてはなりません。
大統領様は「中道」を指向されることを知っています。しかし、国家に反し、歴史に反する勢力は冷静に処断せねばならないと思います。彼らの意見はお聞きになっても、決定を下す大統領様の歴史的価値判断は揺れてはなりません。
歴史教育は人の価値観と教養を涵養する教科であり未来を眺める指標です。歪曲された歴史教科書を通じて大韓民国を嫌い、祖国の歴史を恥ずかしく思う学生たちが養成されれば、その学生たちは社会と国家への憤怒と憎悪心を育てていくはずです。自らが主人になって導いて行かねばならない国家を蔑み侮辱するようになります。われわれはその恐ろしい光景を2008年の「狂牛病ろうそく示威」ではっきり見ました。これ以上そういうことが許されてはなりません。これ以上「全教組」教師たちや自らの理論に縛られて北韓を称える学者らに子供たちの未来を任せる訳にはいきません。(続く)
http://libertyherald.co.kr 2011.05.12 21:35