趙甲済
今日(5月19日)の朝鮮日報は、李明博大統領が民族反逆者の金正日を来年の核安保サミットに参席させるため秘密接触をしていると伝えながら、「MB(李明博)の南北関係最後の勝負」というタイトルをつけた。金姫廷大統領府代弁人は昨日の定例ブリーフィングで、「金委員長(金正日)招請問題と関連してわが政府の真意が北韓に伝えられた」、「これからも機会がある時より具体的な議論が あることを期待している」と話したという。李大統領は最近ベルリンで、「北韓が非核化に対して国際社会と確固たる合意をすれば(来年3月頃ソウルで50余ヶ国の首脳が参加する)核安保サミットに金委員長を招請する用意がある」と提案した。(右写真はベルリン市庁を訪問した李大統領)
記事を読んで見ると、この政府が金正日に屈してソウル訪問をもの乞いしているという印象が残る。この政府は、北が、天安艦爆沈や延坪島挑発に対して「遺憾」くらいの言葉を言うだけでも「北が謝ったからこの問題は解決されたことにする」としてほくほくするだろうという気がする。
李明博大統領がよくやったことの一つが、就任以来金正日政権に食い物にされず持ちこたえた点だ。だからと言って金正日に勝つゲームをやったわけではない。金 正日政権は李明博政府発足後金剛山で観光客を射殺し、臨津江に洪水を起こし、天安艦を爆沈し、延坪島を砲撃して57人の韓国人を殺した。これに対する李明博大統領の報復は経済制裁に止まった。ただ一人の北韓軍も殺せなかった。金正日対李明博のゲームのスコアは現在57対0だ。彼は対北戦略とはコインの両面関係である国内の従北勢力に対する法的膺懲を放棄することで対北関係で得た点数まで全部無くしてしまった。
任期満了が近づくや前例の通り大統領の人気が落ち、ハンナラ党が恐慌状態に陥るや大統領の側近たちがまた「民族問題」を以って細工をしているようだ。李大統領は、真実も論理もない金正日招請ですでに自分の墓穴を掘り始めたのだ。
1.核安保サミットは、核保有国が中心となって地球上から核戦争の恐怖をなくそうという意志を集めて創立した会議だ。こういう場に不法的に核兵器を開発した戦争犯罪者の金正日を招請することは捜査官の会議に凶悪犯を招請する有様だ。最も基礎的な道徳観念に反する。
2.国際社会は北韓政権が二回核実験をしても核保有国と認めない。北韓が米国や中国のように核保有国と認められれば、核保有国としての特権を享受することになり、国際的制裁を避けられる。金正日をこの会議に招請することは、北韓政権の核保有を公認するようになって都合が悪い。李大統領が「 非核化に対して国際社会と確固たる合意をすれば」という条件を付けたが、金正日は「6者協議」でも2005年と2007年に二度も核放棄を約束してから破った前科者だ。金正日がやった言葉の約束は意味がないのに、またもそういう嘘を期待する。
3.金正日は、李明博大統領が任期末に落ちる人気を挽回するためこういう提案をすると考えるはずだ。李大統領のそういう私心を逆利用しようとするはずだ。韓国軍がこのごろ甲高く叫ぶ「挑発したら直ちに膺懲」の真意も信じないだろう。「大統領が屈してくるのに、金寛鎮(国防長官)がわれわれを討つ? 笑わせるな!」 敵が対南挑発と対南工作に自信を持つようになればわれわれは被害を蒙るようになる。
4.李大統領の金正日招請は、実現の可否と関係なくすでに金正日や従北勢力に悪い信号を送った。天安艦爆沈と延坪島挑発に対する対北報復の誓いは事実上失効したと考えるはずだ。「大統領があのように及び腰で出るのを見ると2012年選挙で従北・親北勢力が勝つ」と自信満々かも知れない。
5.国軍を虚脱させる。第3師団は、「金日成のミイラを斬首せよ、金正日を極刑に! 北韓軍の胸に銃剣を刺せ」と叫ぶのに、国軍の最高司令官はその金正日に招待状を送るから政訓教育が成立つのか?
6.任期の無い独裁者と任期のある大統領が会えば後者が不利だ。後者が愛国心が強く理念武装が確固ならもちろん心配しない。李大統領は共産主義者と対決する時最も有力な武器である理念(反共自由民主主義)を放棄して久しい。金正日に籠絡される可能性が高い。
7.李大統領が今まで金正日に食い物にされず持ちこたえたのは、元世勳国家情報院長、玄仁澤統一部長官、金泰孝秘書官など何人かが中心をとり彼らの助言を受け入れたおかげだ。そうした李大統領が、金正日に招請状を送ったことを見ると「金正日と会えば歴史に名が残ります」とささやく側近たちに耳を傾けているようだ。
8.李大統領が信じる新教と聖書の基準から見ると、金正日は悪党でなく悪魔でありサタンだ。サタンを利用して人気を得ようとする人は必ずサタンにやられる。私心を抱いて、あるいは騙されて金日成と金正日に会った多くの韓国人が殺害、自殺、投獄、破滅の人生歴程を辿った事実を軽く見てはならない。
9.金正日は大韓航空機の爆破を指令して115人を殺した反人類犯罪者だ。彼がソウルを訪問すれば韓国政府は彼を逮捕せねばならない国際条約上(航空テロを防止するためのモントリオール条約)の義務を負っている。愛国勢力も黙っていないはずだ。李大統領は左翼だけを恐れるようだが、愛国保守勢力が怒れば恐ろしいという事実を分かるようになるだろう。
10.任期を1年も残していない状態で金正日に会いに平壌を訪ねた盧武鉉前大統領のその後を思い出して見ろ! 大韓民国大統領が民族反逆者に会談をもの乞いする様子を見せるのは教育的にも良くない。