日本政府は3月31日、東日本大震災の復旧・復興に向けた対策の基本法案の素案を発表した。
素案では今後5年間が「集中復旧復興期間」に設定され、復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設、震災国債の発行、首相を本部長とする「復旧・復興戦略本部」の設置が盛り込まれている。復旧復興担当相の下に復興庁が新設される案もある。
与党はまず、緊急性の高い被災地の住民の生活支援や整備を盛り込んだ特別立法を4月中旬までに国会に提出。月内の成立を目指す。
阪神大震災時には、94年度に第2次、95年度第1次・第2次と3回の補正予算を組み、計3・2兆円を支出した。
その後も復興資金は10年間で16兆円あまり投入された。
今回の場合、直接被害が阪神大震災時の2倍になるとの試算があり、補正予算を含む復興資金が2倍必要になる可能性もある。復興需要は長期間、日本のGDP成長にはプラスの影響を与えるはずだ。
問題は財源だ。震災国債の引き受けを日銀にする案も検討されているが、与謝野経済財政相は強く否定。実行すると国際的信任を喪失し、金利上昇を招く恐れがあるからだ。金利の上昇を防ぎ、日本国債の利回りを現在の水準近くにとどめておく必要がある。むやみに国債を増発すると、中長期的な金利上昇は避けられなくなる。
銀行は、日本の企業や家計の手持ちの預金で日本国債を購入してきた。企業がそうした預金を復興代金のために取り崩し使ったり、借り入れを増やした場合には、日本国債に投資する資金はほとんどなくなる。ここでも利回りが上昇する可能性はある。
復興特別税についても担当の野田財相は否定している。
財政再建の不安払拭には、税制改革の抜本的改革を進め、復興特別税を創設する一方、同時に歳出改革も必要で、公務員給与の引き下げなども実行すべきであろう。
復興計画については、今後の日本再生をリードするような復興策を官民一体で打ち出すべきだろう。