韓国の20代が語る統一強国論

停戦協定から2万159日!
日付: 2011年04月04日 10時32分

韓・ヨルム (女、2011年2月大学卒業)

20159。この数字が何を意味するかご存知でしょうか。1953年7月27日、南韓と北韓を公式的に分断国家にした停戦協定が締結された日から今日(2011年3月24日)までの日数だ。終戦でなく停戦協定だった。20,159日間、大韓民国は戦争を続けているわけだ。20,159日、60年近く終わっていない戦争でわれわれが払った代価は何だろうか?
 
2010年3月26日は、白翎島の南のわが海域でわが海軍天安艦が北側の魚雷によって爆沈された事件が起きた日だ。間も無く天安艦爆沈1周忌だ。私たちはこの胸の痛む事件で花のような青年46人を胸に葬らねばならなかった。海軍艦艇が爆沈されたことは軍事的、経済的に大きな損失だった。だが、国家の未来を担うべき柱の多くの命を失ったことは何ものとも代えられない損失だ。これが分断国家、停戦体制の国という大韓民国の安保現実だ。(右は運ばれる天安艦戦死者の遺骸)
 
この安保現実と経済成長はどんな関係だろうか? 天安艦爆沈と延坪島挑発が続けて起きながら、外国資本の韓国投資は多少萎縮し、コスピ指数も小幅下落する現象が現れた。不安定な安保状況のため金融圏が打撃を受けるのではないかという憂慮の中わが軍の海上射撃訓練が実施され、訓練の翌日コスピ指数は2030線を超えて再び年中最高値を更新した。
 
北側の武力挑発にもかかわらず、コスピ指数が上昇した理由は何だったのか? もし、北韓の挑発に対して海上射撃訓練のような積極的な対応がなかったらコスピ指数は下落したはずだ。敵の戦争挑発にも積極対応できない国家に投資する企業は無いはずだからの話だ。国家安保と経済はこのように切り離せない関係だ。
 
ところが、われわれの安保現実がこのように危機ばかりが続くだろうか? 北韓は2012年金日成出生100周年を迎えていわゆる統一「強盛大国」を為すため総力を挙げているが、今北韓の状況は経済、軍事、民生など全部分が史上最悪の状況であることを全世界が目睹している。最近世界最貧国の一つのモザンビークにまで食糧援助を要請したというから北韓の現実はこれ以上の説明が要らない。北韓社会が揺れるほどわれわれは統一への準備が急がれる。史上類例の無い閉鎖的で奇形的な北韓政権は遠からず崩れるはずで、その後南・北韓が一つの国になる方法は南韓による吸収統一のみだ。(*左は夜の韓半島の衛星写真)
 
統一を実際的に準備せねばならない状況でわれわれはやむを得ず損益計算をするしかない。大勢の国民が、「統一費用」に対してほぼ恐怖感に近い憂慮をしている。李明博大統領の「統一税」発言でその現象がさらに目立つようだ。今は差し迫った現実として近づきつつある統一が韓国経済を破綻に陥れるドロ沼になるのかそれとも経済大国へと跳躍できる踏み台になるのかを正直に分析してみよう。
 
現在、わが国では「統一費用」を論ずる論文も多く、政治家も多い。主要な政策機関も統一費用に対する対策や準備を具体化している。だが、彼らの言う「統一費用」は各々定義も異なり、統計数値も異なる。各団体の統一費用に関する統計数値は少なくは50兆ウォンから多くは4000兆までの差がある。
 
統一費用の計算には大きく二つの方法がある。まずは「消滅性支出」だ。消滅性支出は一時的支出とも言われるが、これは統一後北韓の飢餓人口への救護費用や制度統一費用などを例にあげることができる。すなわち、統一直後北韓住民を食べさせ着せる消耗性支出だ。この費用に対して大いに憂慮している国民が多いだろう。飢えておりボロを着た北韓住民がそれこそ「乞食の群れのように」南韓にやってきてわれわれの税金で皆が食べて着るのではないかという極めて現実的な憂慮だ。
 
このように憂慮する人々には北韓最高位級幹部の党中央委員会秘書だった故黄長燁先生の言葉を紹介したい。黄先生は生前、統一費用に対して全く心配する必要がないと主張したが、その理由は今まで政府次元で北韓政府に提供した食糧支援をそのまま続け、ただ北韓でその食糧がどのように配られるかを透明にすれば良いということだった。李明博政府以前対北食糧支援で送った米は年間100万トンだ。この食糧がどんな経路で誰に与えられたのかを透明にすれば良いということだ。統一税を別途に納めなくても北韓で飢えて死ぬ人々は救えるし、彼らは統一後実際に国家の人材になる。
 
統一費用の二番の概念を「投資性支出」だ。これは統一後北韓に不足した道路、港湾など社会間接資本を構築する費用である。だが、この費用は単純に支出とは言えない。立遅れた環境を改善し都市を建設すればその社会間接資本の受恵者は統一韓国の国民である私たちであるからだ。それだけでなく、統一で広くなる国土、増える労働力、市場規模の拡大、資源と人権の拡張、戦争威嚇の消滅など数多くの有無形の資産の産出を考慮すれば投資性支出は「統一費用」でなく「統一利益」と捉えるのが正しい。
 
われわれはドイツの統一過程を注意して見る必要がある。ドイツが統一費用を多く費やした理由はポピュリズムの所為だった。世論に従って西ドイツの社会保障制度を東ドイツにそのまま適用したためだ。すでに統一後北韓住民に最低生計費を支給せねばならないという意見が聞こえる。われわれはドイツの統一過程を反面教師として同じ過ちを繰り返してはならない。ドイツはこういう過渡期を経たが統一後経済規模が着実に成長して今は世界貿易2位、貿易黒字1位などを占めて経済強国になった。
 
統一すれば韓国の人口は7500万人になる。これはドイツ(8000万)につづく規模で、英国(6000万)やフランス(6500万)より多い。国土面積も決して狭くない。国境を接する中国の東北三省には約1億3000万の人口が密集している。地政学的位置か「東北三省」は韓半島の統一後新しい経済活路が得られるようになり、1億3000万の人口は統一韓国と交易し、韓半島の顧客になり新しい市場になり得る。
 
今われわれが直面している安保現実に対して過度に心配する必要もなく、無責任に傍観してもならない。ただ、冷静に正確に現実を直視し未来を眺めねばならない。分断国家はいつかは分断が終わることになっている。今慣れている安楽に安住したら、結局分断は相続され経済的・軍事的分断維持費用は増えるだけだ。ドイツのように過渡期的な混乱は避けられないだろう。だが、国家の遠い未来を考える時、統一は必ず成遂げなければならない国家の最大課題だ。今やこれ以上われわれの安保現実から目を逸らしてはならない。経済は統一後完全に新しい次元へ跳躍できる。
 
何より、統一すれば国民の分断・葛藤・不安が消滅され、民族の自負心が蘇って国家的、個人的に才能と資質が向上され、政治、経済、科学、文化などあらゆる分野で成長し新生強大国として世界に光を放つはずだ。今の安保現実は統一韓国への町角であるだけだ。独裁体制の北韓に閉じ込められて生きている気の毒な北韓住民たちは切実に統一を望んでいる。北韓の人々を、共に統一韓国を成し遂げるべき協力者でありかつ同等な大韓民国の国民と見る時、われわれが今まで発見できなかった希望を見付けるはずだ。暗い現実の中でも未来の光が見られる人々が統一を成し遂げ、その実を味わうことになる。
 

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