自利から利他へ=編集余話 瞻星台

日付: 2011年03月24日 00時00分

 まさに天が裂け、地が割れる天変地異である。いかなる言葉をもってしても、この惨状を形容することはできない。ただただ被害に遭われた方々の冥福を祈り、生ある人たちは希望を失わずに立ち上がってくれることを願うばかりだ
▼世界各国は、日本の秩序立った避難生活や黙々と耐えている姿に賞賛を送っている。強奪もなく共に助け合う姿を見て、その悲惨から各国で募金や支援活動が続々と起きている。だが日本のテレビやマスコミからの報道は、「大丈夫だ。安心できるレベルだ。ただちに影響はない」という画一的な発表が繰り返されている。これが逆に疑心暗鬼をよんでいる。天災と事故報道は違わねばならない。被災者は自然の猛威の前に放心しながらも助け合い、忍耐強く我慢している。東京も計画停電のなか被災者とともにいる
▼奈良時代、民衆に仏教を布教した行基の教えの「利他」つまり人に尽くす精神を発揮している。韓国からの救助隊105人も「希望を捨てずにこの困難を乗り越えてほしい」と励まし、被災地で行方不明者の捜索活動にあたっている。「言葉にできないほどの苦痛を受けている方々のため少しでも力になりたい」と105人は「利他」の精神で共にがんばっている
▼冷静に対処している住民や国民をもう少し信じていいのではないか? 「自利」から「利他」へ人々の意識は変わり始めている。いま「大変」なことに日本は遭っている。復興後は文字どおり大きく変わるだろう。阪神淡路大震災を経験した関西の人々が変わったように日本もそして世界も。


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