アンドレイ・ランコフ
リビアからのニュースを見ると、今この国の状況は内戦へと進んでいるようです。革命軍と政府軍が戦っているが、誰が勝利するのか予測が難しいです。だが、リビアの隣国のエジプトの革命は暴力なしで勝利しました。エジプトの独裁者だったムバラク大統領は戦わず退任しました。
アラブの市民革命は北韓の未来を暗示すると言えます。国家が国民を厳格に統制している現在の北韓では市民革命は想像できないが、10年か20年後のことは断言できません。
しかし、北韓でも革命が起きるなら平和的だったエジプトよりは暴力的なリビア革命にもっと似ると思います。遺憾ながら今の北韓の特異な状況を見るとこう予測するしかありません。
自らの特権と権力を放棄したエジプトの執権階層は、簡単に言えば出口のある特権階層です。権力階層が革命後も相変わらず良い暮らしができると思うと、平和に権力を渡せるはずです。
残念ながら北韓の権力階層は出口がないと思います。北韓は分断国家の一方です。北韓での政治危機は南北統一を齎す可能性が高いです。ところが、北韓の政治エリート層は(南による)吸収統一の場合、彼らの権力と特権を維持できないと判断します。
もちろん 北韓の権力階層はそう多くありません。北韓で本当の権力階層と言える人は数十万人に過ぎません。しかし、この少数の特権階層は武器も統制力も持つため、「民主化運動」を抑えるため民衆を力で弾圧する意志と能力があります。
北韓は体制が揺れても、北韓の政治権力は民衆革命を鎮圧し彼らの独裁政権の維持を図るでしょう。同時に、彼らは中国の介入も望むでしょう。危機の後、北韓で親中衛星政権が成立すると、金正恩時代の幹部たちは権力をそのまま維持し重要な役割ができるからです。
もちろん、中国は現段階で北韓の権力層を救う意志が強くないように見えますが、中国の利益に符合すると中国は介入するはずです。もちろんこういう未来は決して望ましくありません。しかし、われわれは事実を客観的に受け入れねばなりません。