李大統領の「改憲」発言 まず法を守れ 

概念なき改憲はすべきでない (洪熒・本紙論説委員)
日付: 2011年03月02日 00時00分

 残る任期が2年に満たない李明博大統領が、突然憲法改正に言及した。李大統領は新年のテレビ座談会(2月1日)を通じて年内改憲の必要性を提起した。
改憲について語る李大統領
 いかなる法や政治的制度も、人間が作ったものである以上はそもそもすべての社会構成員を完全に満足させることはできない。どういう法律や制度にも足りない点や不満はある。だから必要があれば直せるものだ。
 では、今回の改憲の目的や方向性、動機は何か。李大統領は憲法改正という国家の重大事に関して、その理由や目的などを国民に明確に提示していない。いや、これから改憲の中身を議論せよという話だから、大統領として無責任極まりないといわざるをえない。
 そもそも李明博政権は発足以来、政治的・社会的「疎通」を強調してきた。しかしスローガンとは反対に、国民に説明責任を果たしたことは一度もない。李大統領は公式記者会見すら年に1回もしてこなかった。
 韓国憲法はその内容と、中心的価値や精神において世界的に誇れるものだ。
 1948年7月の制定以降、憲法改正はいつも権力構造を変えることが中心だった。今も改憲というと有権者はだれもがすぐ権力構造の変化を連想するほど、政治的思惑と絡めて扱われてきた。韓国人は63年間の憲政史を通じて、権力構造をめぐる政治家たちの駆け引きを見てきたのだ。
 事実、大統領制の運用は難しい。先進国の中でも大統領制を取っているのは米国だけだ。大統領に権限が集中しすぎるという問題はある。だが、大韓民国が大統領制を採択したのは歴史的必然性の結果である以上、その運用は重要なのだ。
 1987年に改正された現行の憲法は、9回目の改憲を経て、今の第6共和国を23年間も支えている。改憲問題と関連して巷で言われているように、大統領任期の重任制などが改憲の中心になれば、第6共和国から第7共和国に移行することを意味する。
 李明博大統領に憲法改正を言い出す資格があるのかと疑う有権者は少なくない。
 親北左翼政権を終息させた国民、自由民主主義と法治の確立を希求する多くの国民は、当初から李明博大統領に多くのことを期待しなかった。自由民主の法治の確立だけを望んだといっても過言でなかった。
 ところが李大統領はそういう期待を徹底的に無視した。彼は国家と社会の統合を、法治を基準としてではなく、「中道」や「社会統合委員会」といった政治的アプローチから試みた。大統領として憲法を遵守し、守ろうとはせず、憲法が与えた権限を使って法治を確立しようともしなかった。
 何よりも李明博政権は、憲法に違反し、挑戦した「6・15宣言」と「10・4宣言」という“反逆的"な宣言を破棄せず、違憲的政党である民主労働党の政党解散の手続きも取らなかった。逆に李明博政権の中枢には、憲法の領土条項を変えようとする人々が布陣している。
 国会も国会法をはじめ、多くの法に違反することを平気でやってきた。このように憲法や法律、常識すら守らない政治家たちが改憲を主張する。良識のある国民は虚しさと怒りを感じている。
 今、時代の要請は、できもしない改憲などではない。金正日暴圧体制を打倒し、1世紀以上奴隷状況に置かれている北韓住民の解放だ。


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