趙甲済
李明博大統領は、今日(2月1日)の新年放送座談会で、「今与野党が緊密に議論すれば(改憲は)遅くない。今年が適切だ」と言った。改憲関連発言の要旨は次の通りだ。
「昨年の8.15記念式で(改憲を)提案したが、非常に早く言ったのだ。憲法改正と関連して17代国会から研究したものが多いため、今与野党が額を合わせて話せば複雑でない。大統領になって見たら、国会で与野党が戦うと嶺湖南の戦いになる。嶺南からも野党議員が当選し、湖南からも与党議員が当選してこそ地域の均衡が保たれる。選挙法を変えたい思いがする。(行政区域も)100年前の農耕時代に作ったものなので行政区域同士が争う。行政区域も情報化時代に相応しくしようということだ。男女同等権、気候分野、南北関連問題なども憲法で手を加える必要があるではないか。(この次に)誰が大統領になってもやらねばならない。実現可能かどうかの以前に、時代に合うようにするのが望ましい。党利党略で考えるといけない。青瓦台が主管する時間(余裕)もなく、国会がやらねばならない仕事だ。(改憲を)政争の対象とするな。大統領はやるべき仕事が多い。」
李大統領の発言を詳細に見ると曖昧で危険な部分が多い。
まず、彼は改憲は与野党が額を合わせればできるという安易な考えをしている。今の国会を構成する与党と野党に対する国民の不信を勘案しない話だ。改憲過程には与野党だけでなく国民が参加せねばならない。密室でやるべきことでない。今の与野党は、ウェルビーイング者と従北勢力が主力軍だ。彼らが国民を排除して改憲をやれば、その結果は国益に反するものになるはずだ。
二つ目、改憲で南北関連問題も手を加える必要があるという言及には憂慮せざるを得ない。南北関係が反映された憲法条項は1,3,4条だ。この3つの条項を要約すれば「反国家団体である北韓労働党政権を平和的に解体し自由統一をして韓半島全体を民主共和国に完成せよ」という話だ。ここには手を加えることがない。手を加える必要があるという意味は、韓半島全体を大韓民国領土と規定した3条を改正するか、「平和的自由統一」を強制した4条を改正するという意味に解釈される。そうすれば大韓民国のアイデンティティが毀損される。特に、改憲過程を主導するという李在五議員は、大韓民国憲法と異なる統一観と対北観を持った人だ。理念的覚醒されていない李大統領が、李在五議員に利用されて従北勢力が歓迎する国体破壊行為をするのではないかと心配になる。反憲法的見解を持った人物たちが主導する改憲は、保守層を分裂させて左翼の再執権への道を開くかも知れない。
三つ目、彼の言う行政構造改革や選挙制度の改善は、憲法を改正せず法律改正で可能だ。なぜ憲法改正の理由とするのか理解し難い。
四つ目、改憲の緊急性を強調しながらも自身はその作業に関係しないと言う。改憲は最高度の政治行為だ。最高位政治家が改憲の必要性だけを言い出し、「国会が処理せよ」と言う。こういう無責任はあり得ない。
五つ目、どの条項をどういう方向に改憲して欲しいという意思表明がない。漠然と改憲の必要性だけを話し内容を明示しない。国民を混乱に陥れるのが目的でないなら、大統領がこういう文法を使ってはいけない。主権者の国民が平易に正確に分かるよう自らの判断を話すのが最小限の礼儀だ。
六つ目、大統領が考える本当の改憲目標は、権力構造に手を加えて自分とハンナラ党の影響力を維持したいことであると見られる。この部分に対する率直な説明がない。
七つ目、改憲は政治的命をかけねば出来ない。李大統領の見物者的姿勢では改憲が不可能だ。