非核・民主化に向け対話せよ

日付: 2011年02月02日 00時00分

 北韓が韓国への対話攻勢を異様なまでに高めてきた。新年3紙共同社説に始まる5度の対話提案で北はメディアを動員し、あらゆる言い回しを駆使して「対決か対話か」を繰り返し、国家機関から政党、社会団体にまで対話の対象を広げている。
急旋回図る異様な光景
 直近では1月28日、24の政党および社会団体で構成する祖国統一民主主義戦線(祖国戦線)の中央委員会が「全体朝鮮民族に送る呼訴文」で「南北間で造成された厳重な事態を克服し、民族が進む道を模索するために、われわれの最高人民会議と南朝鮮の国会の間で議員の接触と交渉を提起する」とした。「南の当局が疑問と偏見を捨て、無条件で応じることを訴える」とする呼訴文では金剛山と開城観光や南北交流事業活性化を申し込んでいる。
 昨年末までの対韓奇襲攻撃の主犯であることは忘却したかのような急旋回ぶりで、局面の転換を図ろうとする北のねらいは明瞭に表れているが、北は核保有のため行ってきた瀬戸際路線が緊張の原因であることを総括し、外部の指摘を噛みしめる言葉を添えるべきではないか。
 解放後、北が南に全面的な対話攻勢をかけた例はいくつかある。今度の一連の対話攻勢は、目下、矛盾を噴出させている金正日体制の延命をかけた提案だ。
国際制裁と内政行き詰まり
 北当局は、外には安保理制裁、内には経済苦境を抱え込み、身動きできない状況に至っている。北の至上命題は、後継体制への移行成功だろう。そのためには現在の国際的孤立から抜け出さなければならない。それには2度の国連安保理制裁決議をはじめとする経済制裁の解除が必要だ。北が頼みにする中国も北韓に対する国際制裁が緩和されなければ対北支援に乗り出す名分を得られまい。
 韓半島情勢が大きな転換を迎えつつあることは、北の対話提案の切迫性からも見て取れる。しかし、北韓体制の限界は対話局面や緊張緩和局面をつくり出して解消するようなものではない。北に求められるのは、対話提案が韓国や国際社会が受け入れられる真正な目的で行われていることの証明だろう。対話によって南北間の懸案を解決まで導くという確固とした意思を示すことだ。テロや奇襲攻撃、韓国を軍事的に屈服させようという国家戦略、核とミサイル開発、軍と党による国家社会支配といった先軍1党独裁からの開放と平和の民主主義路線へ確定的に転換することだ。先軍政策と対南暴力革命路線を継承するための権力世襲体制を廃止し、人民主権原理に立った統治体制を志向することだ。
 しかし、現在の北当局の対話攻勢の正当性は名のみ装うだけで、国際世論もはなはだ懐疑的だ。挑発と攻撃という北当局のイメージを変え、制裁局面から抜け出すねらいで行われていることは否定しがたい。なかでも懸念の対象は、北の核活動がウラン型兵器による核爆弾と弾道ミサイル開発にひた走っているのでないかということだ。核活動の拡大は軍事中心の「強盛大国」づくりを意味する。これらの懸念を払拭する真正性を北当局はまず示せ。それには、哨戒艦天安爆沈と延坪島無差別砲撃の事実を率直に認め、犠牲者と韓国民に謝罪することだ。北当局の謝罪を得ることにおいて韓国政府はこの点をあいまいにするべきでない。
 いまの北は体制の存続がすべてだ。しかし、金正日政権までの政策と同じ政策を北の次期政権が継続できる物質的、国際環境的な保証はなくなってきた。だが、「強盛大国建設」を掲げる以上は少なくとも明瞭な通商政策を打ち出さなければならないだろう。通商国家でない強盛大国はおそらく存在しなかった。通商国家は、国際社会に受け入れられる理念と政策の持ち主であるはずだ。開放体制、平和国家、民主主義制度、人権尊重の理念は必須だ。北は次期政権でそのような政策転換をすることを南北対話で明らかにするべきだ。
 非核・民主化に向け対話することが21世紀の韓半島の枠組みづくりにつながる。


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