金成昱
韓国の危機は精神の危機だ。国を背負うべきエリートたちの愛国心の欠乏と正義感の不在が混乱を呼ぶ。
1月21日、ソウル中央地方法院(*左写真)の刑事合意21部(部長判事・金容大)は北韓工作員から指令を受けて反米闘争を遂行した嫌疑(国家保安法違反)で拘束起訴された韓忠穆(*下の写真)「韓国進歩連帯」共同代表に懲役1年6月と資格停止1年6月の、執行猶予3年を宣告した。
韓氏は、親北・反米性向の左派団体の実務責任者として旺盛に活動してきた人物だ。▲2005年9月、仁川市自由公園のマッカーサー将軍銅像破壊を試みた「統一連帯」の執行委員長をはじめ、▲ 「国家保安法廃止国民連帯」の共同運営委員長、▲ 「米軍装甲車による女子中学生故シン・ヒョスン、シム・ミソン殺人事件汎国民対策委(女子中学生汎国民対策委)」の共同執行委員長、▲ 「イラク派兵反対非常国民行動」の共同代表を務めるなど、彼の活動が南韓の親北・反米運動そのものだった。(下の写真)
韓氏は、ついに平壌の指令を受けて反米闘争を行った嫌疑で去年7月起訴された。しかし、法院は、1月21日「韓氏が2006年4月、統一連帯と平壌の民族和解協議会(民和協、*労働党統一戦線部)との交流議論を名目として北韓を訪問して統一戦線部所属工作員と会合し指令を受けた嫌疑(会合・通信など)に対しては、「全般的に統一部の承認を受けた儀礼的活動に属する」という趣旨で無罪を宣告した」(以上聯合ニュース報道)という。
呆れることは、前日の国民行動本部徐貞甲本部長への控訴審の判決だ。ソウル高裁刑事5部(裁判長・安暎鎮)は、1月20日、徐本部長に対して、2004年10月4日の「国家保安法死守国民大会」で暴力示威を幇助した嫌疑(特殊公務執行妨害致傷など)で懲役1年6月、執行猶予2年を宣告した。
懲役1年6月! 大韓民国破壊に邁進してきた従北主義者の反国家活動に対する刑量と、大韓民国を護るために苦労してきた老愛国者・徐貞甲(*左写真)への刑量が同じだった。
法院は、徐本部長に暴力示威幇助云々したが、私も最後まで参加した「10・4国民大会」は平和的集会だった。参加者は大部分が韓国社会の主流層で60~70代の老人が主流をなした。
むしろ、当時警察は「平和行進を保障する」という約束を破り老人たちに向かって放水し示威鎮圧の盾などで殴りまくった。この過程で負傷者が続出するや数人の市民が興奮してピケなどを投げたが大きな騒動はなかった。しかし、法院は「10・4国民大会」を暴力集会と規定し、当時の大会長でもない徐本部長を相手に懲役1年6月、執行猶予2年を宣告した。
司法高試をパスした名門大出身の法曹人らに会ってみると、驚くほど無知な者が一人や二人でない。六法全書を丸暗記しただけで、大韓民国の成就と北韓政権の邪悪性に対しては全く無知だ。本を読んだとしても進歩然しながら「ブルース・カミングス」や左派小説「太白山脈」に目を通した程度だ。
魂の抜けたこの国の青年エリートたちを必死に教えて正さない限り、昨今の痛嘆すべき状況は止まらない。徐本部長への判決直後、一言の声明も出さないハンナラ党を見て、国家観の不在、正義感の欠乏の精神的危機をさらに痛感した。