コンピューターと縁を切る方法はないか?誰でもがそうしたいと思うことが自分自身もわからないうちコンピューターの電源ボタンを押している。どうすればコンピューターの束縛から解放されるか?彼はインターネットで10万円の懸賞金をかけてその方法を公募した。そうすると1時間だけで約1万件の応募があった。
懸賞金をかけて公募した人は在日韓国人実業家で在日1世世代のリーダー中の1人である鄭煥麒さん(86)だ。鄭さんは最近発刊した随筆「四季彩々」で自分自身が生活で経験したエピソードを淡々と表現している。特にコンピューターと関連した彼の話は「私の戦い」という小見出しを付けて機智溢れるように描写されている。それもそのはず、老齢にもかかわらずワープロを覚え、インターネットを学んだ。どんなに悪戦苦闘したかは想像に難くないことだ。
今回の随筆集は月刊誌などに数年間寄稿したものを整理した。テーマは幅が広くて民族と政治、経済、社会、人生観、ひいては自然(花鳥風月、季節の 風物詩)などの分野を、彼特有の纎細な感性で描いている。「聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥」。このような信念の持ち主である著者の旺盛な好奇心をうかがうことができるエピソードが多数収録されている。
また、3歳の時渡日してから 80年以上を日本に住みながら経験した生活体験を土台に諸分野で韓日両国を比較、独自的な視点で話を展開する。1985年11月自敍伝「在日を生きる」の刊行を始まりにこれまで発表してきた著者の出版物は在日1世代の考え方と生き方を垣間見ることができる良い機会を提供してくれる。今回の随筆集もやはり、「在日」としての自分の経験談を詳細に記録、若い在日韓国人3世、4世はもちろん韓国と日本に関心がある両国民に貴重な作品といえるだろう。
著者は実際に「コンピューターと縁を切る方法」の懸賞金当選者を選んだが、その解答は 554ページに出ている。名古屋の琥珀グループ会長でもある著者は青年時代から在日韓国人子弟の教育と育英、韓日親善に深い関心を持って、愛知県同胞たちと力を合わせて愛知韓国学園(名古屋韓国学校)と名古屋韓国総領事館の建設などに貢献した。また、韓国の晋州教育大学に100億ウォン以上の私財を寄付して奨学財団を設立したりしている。著者鄭煥麒、発行- ANC社/KOREA TODAY、20101215 初版、569ページ、定価2000円(税別)
(ソウル=李民晧)