北韓民衆に自らの力で民主化しろって?

彼らは獄の中の奴隷だ。
日付: 2011年01月18日 12時33分

金成昱
北韓の未来は南韓でなく北韓同胞自らが決めるのが正しい。金正日一党を引下ろすのも同様だ。
だが、ここには条件がある。南韓の強力な支援と絶え間ない努力だ。北韓解放の端を開くべき勢力は、それで自由を享受している南韓の人々であるしかない。
 
北韓同胞は、権威主義政権やソ連・東欧圏のような政治的自由が制限された市民でない。獄に閉じ込められている奴隷だ。収監者らに自らの力で金正日政権を打倒せよというのは残忍な注文だ。ロマンチックな夢だ。
 
北韓同胞は、朝鮮王朝と日本の植民地時代だけを経験して自由の意味も分からないまま生きてきた。それで彼らに切実なのは解放者だ。自分の命を捧げてでも2400万の同胞を救う救援者だ。そして、解放者・救援者は、自由の基地になった南韓の訓練を受けた人であるしかない。南韓出身であれ、脱北者であれ同様だ。
 
よく北韓の崩壊とソ連・東欧圏の崩壊を比較する。しかし、旧社会主義圏は北韓のような完璧な監獄ではなかった。粗悪なレベルではあったものの市民社会が存在した。
 
ポーランドの「自由労組(Solidarnosc, Solidarity)、チェコの「77グループ」のような具体的な組織をはじめ、ハンガリーでも市民社会の力量が強かった。ブルガリア、ルーマニア、アルバニアは市民社会の形成が弱く、旧共産党勢力が変革をリードしたが、孤立した「島」の形でも教会や知識人グループがあった。
 
ソ連も自由が抑えられたところだったが北韓とは違った。ゴルバチョフの登場後、民衆蜂起ではなかったが生活苦に抗議する市民らの反政府デモが登場した。89年7月頃は、50万人の鉱夫が参加したストが独立労組の主導下で行われ、同年の末、数十の政党と数千の非公式グループ出現した。そして、1991年12月、ソ連邦は解体された。
 
自生的な変化の萌芽があったソ連や東欧圏と、「人間生き地獄」の北韓は違う。北韓はソ連や東欧圏のように自体的、自発的、自生的な体制変動が不可能だ。強力な外部の力、北韓の解放と救援の主体を必要とする。それで、今必要なのは、首領独裁という監獄の門を開けてやる超人だ。民族の聖地、民主の基地に住む南韓人の(脱北者であれ南韓出身であれ)超人的決断だ。
 
だが、われわれが「北韓民衆が自ら」という虚しいスローガンばかりを言い続け、いつまでも傍観したら、解放の主役おろか金正日一党の共犯になってしまう。
 
www.chogabe.com 2011-01-16 10:22

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