「統一費用」に関する論争をやめよう!

ドイツは高費用の統一となるしかなかった。だが、韓国は違う。北韓政権の解体過程は東ドイツ政権解体と異なるはずだ。
日付: 2011年01月05日 19時31分

金成昱
 
ドイツの統一過程で天文学的な費用が掛かったから、南北統一が災殃になるという主張は科学的でない。
 
ドイツの「統一費用」が大きかった最大の理由は、東ドイツ政権崩壊後「急速な」西ドイツへの編入にあった。ドイツ政府は、東・西ドイツ間の「移動の自由」を許容した後、東ドイツ住民が大挙西ドイツ地域にやって来ると憂慮した。東ドイツ住民を故郷に留まるようにするためには、彼らの暮らしを短期間で引上げねばならなかったし、これは「貨幣統合」など無理な政策に繋がった。
 
南・北の統一過程で、南・北間の「移動の自由」が制限される、一種の管理体制・過渡体制が必要な理由がここにある。管理体制や過渡体制は、北韓政権を崩壊させた後大韓民国が北韓地域を管理する期間であり、短くて3年、長ければ30年以上の時間が掛かり得る。北韓解放後、自由統一へ進む飛び石のような概念だ。
 
<貨幣統合、価格競争力を喪失した東ドイツ商品...大量倒産>
当初は、西ドイツでも段階的な貨幣統合主張が優勢だった。ところが、ベルリンの壁が崩れて東ドイツ人の西ドイツへの移住ラッシュ(rush)が始まり、1990年の4‐5月に「東・西ドイツの経済・社会・通貨統合条約」が締結された。これは東・西ドイツの貨幣が、賃金と預金は1:1、その他債権と債務は2:1の割合で交換されたのだ。
 
東ドイツに西ドイツのマルクが電撃導入されながら、移住の波は急減したが、東ドイツの経済は緩衝装置なしで直ちに資本主義の市場経済へ転換された。
 
特に、東・西ドイツ貨幣の実質価値が4.3:1であったにも拘わらず、1:1で統合され、東ドイツ産輸出品の価格は急に330%まで値上がりした。輸出がGDPの40%を占めていた経済は致命傷を受けた。東ドイツマルクの過度な切り上げのため、東ドイツで生産された商品は価格競争力を失ってしまった。結局、生産性の低い東ドイツの企業が大量倒産するに至る。
 
<急速な私有化で東ドイツ企業らが破産>
私有化による後遺症も多かった。これも、東ドイツが西ドイツの法体系に「即刻」吸収されながら起きた問題だ。
 
信託庁(Treuhandanstalt)という機関は、独自的回生が不可能な東ドイツ企業を迅速に売却して私有化する作業に取組んだ。1990年から1994年の間1万5,102個の企業、2万5,030個の商店・食堂・ホテル、4万6,552件の不動産などを処理した。
 
ところが、中間段階のない信託庁の私有化も、東ドイツ企業の大量倒産を招いた。例えば、東ドイツ最大の製鉄工場(EHO社)は、私有化後1万2,000人の雇用人員中9,300人が失業者になった。このため信託庁は「働き口撲滅庁(job killer)」という汚名を持つようになった。
 
深刻なことは、私有化以後発生した2,044億マルクに達する膨大な債務だった。企業整理のために途方もない費用を注ぎ込み、これは政府保証公債で充当され結局は税金で埋められた。
 
東ドイツ地域は莫大な「統一費用」の力で急速に私有化されたが、大部分の国営企業が破産してしまった。他の東欧圏の企業が体制転換後も生き残ったのと対比される。
 
<高い失業率、結局は政府負担で>
東ドイツ地域の失業率も高くなった。ドイツ政府は、東ドイツ地域の大量失業を防ぐために短縮操業、早期退職制度、転職訓練制度、一定期間被雇用者の賃金の75%線まで補助金を支給する雇用創出措置(ABM)など積極的な雇用政策を実施したが限界があった。
 
ドイツ投資庁は、統一後2001まで100りの国際企業誘致し、15,000創出したが、2002年以後投資家らはドイツをいてチェコ、ハンガリ、ポランド、スロバキアへってしまった。「ロッパの改革国家らは、ドイツの提供できないものをっており、それは遥かに賃金」というのが投資家らの愚痴だった。
 
にも産業基盤施設の脆弱、所有権紛争の未解決、複雑行政手続きなどのため西側企業が東ドイツ地域への進出忌避しながら「雇用維持費用」と「失業給与」などがそのままドイツ政府の負担となった。現在、東ドイツ地域の失業率11.5%西ドイツ地域6.6%水準だ。
 
<西ドイツ労組の応援で同一労働、同一賃金を主張>
ドイツ地域の企業らの競争力が強化されなかった理由には左派イデオロギの責任もあった。198911月のベルリンの壁崩壊後、東ドイツ労働者生産性西ドイツの31水準ぎなかったのに、西ドイツ労組支援を得て5年内に西ドイツ労働者同一労働や同一賃金の達成要求した。このような闘争は、ドイツ企業競争力決定的契機になってしまった。
 
所有権紛争混乱加重させた。西ドイツに居住していた東ドイツ地域土地原所有主110万人が、237万件する財産権審査請求書提出所有権の返還要求したのだ。ドイツ住民たちの住宅や土地に対する所有権紛争激化して、東ドイツの庶民政党である「同盟90」の地区党委員長のジャン・タルクがを括って自殺する事件まで起きた。
 
<失業など社会問題を福祉解決を試>
ドイツの統一過程急速な貨幣統合、私有化とこれによる失業などは、福祉制度をもって解決された。世界最高レベル西イツの社会福祉システムが、ドイツ地域に同様に適用されたのだ。ドイツ住民は、失業率かったが保険料は納めなかったため、社会福祉ドイツへの適用財政赤字を齎し、これはまた「統一費用」やした。
 
いわゆる「統一費用」は、ドイツ統一15,000ロが掛かり、これは毎年800億‐900ロ、ドイツGDP3‐4%にする巨額だった。だが、「統一費用」80%は、ドイツ住民への年金や失業手当のような社会福祉費用だった。社会主義かった西ドイツの福祉制度ドイツに適用した結果が「統一費用」正体であるわけだ。
 
<連帯協定(Solidarpakt)通じての財源調達>
「統一費用」はどのように充当したのか? ドイツ政府は、当初は付加価値税や社会保険料の引げで解決したが、1991年「統一税」という特別税導入した。1年間の限時制度として登場して19917月から19926月間、所得税と法人税7.5%賦課されたが、1995年に復活して現在までいている。1998年以降は、所得税と法人税5.5%賦課されている。
 
財源調達は、いわゆる「連帯協定(Solidarpakt)」だ。1994年以降、連邦と西ドイツ地域の11個州政府は、国公債の発行予算節減など通じドイツの5支援する連帯協定ぶ。ところが、国公債の発行は、租税社会保険料の引げをもたらし、これはまた物価上昇賃金引げの要因になって、賃金闘争や失業者の増加を生む悪循環を招いてしまう。
 
<高費用のドイツ統一低費用の韓国統一>
いわゆる「統一費用」は、ドイツ政権崩壊後、一種過渡体制・管理体制なしでドイツを西ドイツに急速に編入したのが一番大きな原因で、西ドイツの社会保障制度ドイツに一括適用したのが次の原因だった。韓半島の統一は、ドイツの先例と類似する点ほどい。
 
まず、
北韓政権の解体過程ドイツ政権の解体と異なるだろう。ドイツ政権は、ベルリンのれる20世紀最大のイベントで瓦解されてしまった。民衆れたベルリンの壁(*左写真)は、東・西ドイツに「移動自由」が許容されたことを意味し、ドイツ政府もこれをげなかった。結局、東ドイツは一朝にして西ドイツのシステムに編入されるしかない状況に追込まれたわけだ。もうが望まなかっただろうがドイツ政府西ドイツの私有財産制、貨幣制度、福祉制度などをドイツに適用せざるを得なかったし、これは「統一費用」を増やした。ドイツは本質的に「高費用の統一」にならざるを得なかったのだ。
 
反面、北韓政権瓦解は、休戦線の崩壊のような構造で進行しない可能性い。むしろ、金正日死後の急変事態の時、大韓民国介入や金正日政権がより弾力性のある政権に交替された後、この政権大韓民国編入されるでなされるかも知れない。つまり、「民衆力」政権が倒れるのではなく、「北韓政権自らの崩壊後韓国の介入」、あるいは「北韓政権次元韓国への編入」など、韓国政府絶対的影響力下で崩れるしかないのだ。したがって、ドイツのよう韓国のシステムを一朝一夕適用させない、一種の「呼吸調節」ができるわけだ。
 
<北韓政権崩壊後、管理体制や過渡体制を導入しなければ>
大韓民国がやらねばならない第一の課題は、北韓政権早期崩壊させることだ。急変事態による北韓政権自体崩壊後、韓国の介入」であれ、「北韓政権次元韓国への編入」であれ、一応北韓政権崩壊させた後、韓国政府一定期間の南・北間「移動自由」制限された管理体制や過渡体制導入しなければならない。
 
管理体制や過渡体制は、大韓民国北韓地域管理再建する期間であり、短くて3年、長ければ30年以上の時間が掛かり得る。つまり、北韓の解放は急激に、自由統一は落ち着いてやるということだ。重要なのは、北韓暴圧体制一日して自由・人権・所有保障される普遍的秩序北韓ることだ。北韓普遍的秩序が樹立されれば、自由統一時間問題選択問題になる。
 
北韓政権崩壊した後、大韓民国北韓地域管理再建するシステムは、いわゆる「中国式の改革・開放」でない。中国式の改革開放北韓政権の存続前提になるが、管理体制や過渡体制北韓政権の崩壊前提になる。
 
当然の話だが、管理体制や過渡体制の内で韓国社会保障制度北韓一括適用する必要もない。当分は、北韓大韓民国管理下北韓なりの自生的活路を模索することになる。
 
<統一分断より良い理由>
「統一費用」などあらゆる問題があるが、歴史はドイツの統一分断より良かったことを雄弁で語る。統一後ドイツはヨロッパで強力経済大国浮上した。
 
エコノミストは20103月、「ヨロッパのエンジン」という題名でこういう記事を掲載した。
一時、ドイツはヨロッパの病人ばれた。しかし、はドイツの奇跡ばれる」。赤字しむロッパの国々と違って、財政赤字の規模3.3%。ドイツがヨロッパを護るきな存在になったことをす。実際、EUのギリシャへの救済金融(1100)時、最28%負担した国家がドイツだった。「ライン奇跡」は、今「エルベ奇跡」わりつつある。
 
ドイツは、平和人権主導国家としてのびした。国連の正規予算、各種平和維持活動事業する自発的な財政支援は、米、日に続3(8.7%)だ。
 
統一最大正当性は、ドイツ市民自由にある。共産党1党独裁から解放されたドイツ市民は、今の自由と人権政治・思想・宗教・哲学自由満喫するのはもちろん、経済社会文化教育芸術などすべての領域世界最高水準文明満喫している。
 
ドイツの統一を導き出したコ総理は、備忘録でこう書いた。
「1990年に約1,150マルクの統一費用使えば1994まで統一完成できると期待した。ところが、1996まで7,200マルクを使った。しかし、このようにくの費用が必要なことを事前かったとしても、その当時統一推進されただろう。統一の遅延による費用がもっときかったはずだからだ。」
 
大韓民国はドイツより遙かにくの「分断費用」っている。天安艦爆沈延坪島砲撃死亡した軍人市民は計れない費用だ。われわれが「統一費用」云々して統一回避できない理由がここにある。
 
米国系投資銀行のルドマンサックス(Goldman Sachs)は、20089月、「統一韓国(a United Korea)対北韓リスクにする再評価」という報告書の中でこう予測した。
韓国統一されれば、30‐40年内に国内総生産(GDP)規模がフランスとドイツ、さらに日本すだろう。」
 
大韓民国の前には今、費用を恐れる分断と没落か費用という迷信克服した統一成就かという二つの選択がある。
 
www.chogabje.com 2011-01-04 18:55

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