趙甲済
李明博大統領は、統一部の2011年度業務報告(*右写真)を受けて、「南北が対話を通じて平和を定着させる努力も一緒にやらねばならない」、「一部で言う吸収統一とかこういうことは論じるべきでない。時間がかかっても平和的統一をしなければならない」と話した。
「吸収統一」という言葉は、一般的に大韓民国による北韓体制の吸収、統一を意味する。西ドイツが東ドイツを吸収統一したのと同じ意味だ。これは新しいことでなく、わが憲法の第1、3、4条が規定したものだ。憲法1条は、大韓民国は民主共和国であると宣言し、3条はその大韓民国の領土が韓半島と附属島嶼と規定、北韓地域を反国家団体が不法占拠しいているわが領土と確定した。したがって、大韓民国は北韓地域を収復し全国を民主共和国にすべき義務を負う。
そうして、憲法第4条は、統一の方法として自由民主的な基本秩序に立つ平和的統一を命令した。つまり、戦争をせず統一するものの、統一後の国体は自由民主的な基本秩序に立つ民主共和国であるべきだという点を明確にした。憲法の1、3、4条を総括すると、「北韓労働党政権を解体し自由統一せよ」ということだ。これは大韓民国の国家理念であり、国家意志で、国家目標だ。
如何なる政権もこの憲法的制約を逸した統一は推進できない。金大中と盧武鉉政権の対北政策はこの憲法に明白に違反した。北韓体制を自由民主主義体制にする統一をせねばならないという命令に逆らっただけでなく、北韓政権の対南赤化戦略である連邦制を事実上受容れたためだ。
李明博大統領は、吸収統一は駄目だと言いながら統一を準備しろと言う。同時に平和統一を強調した。矛盾する話であり混乱する。わが憲法は、北韓体制を自由民主体制に吸収する統一を命令している。憲法第4条のいう平和統一は、「平和的方法による自由統一」だ。「平和」は手段であって目標でない。李大統領は、ただ平和統一といわず、憲法に基づいた「平和的自由統一」であることを明確にしてこそ誤解が避けられる。北韓政権と従北勢力が用いる「平和統一」とは「平和的赤化統一」だ。
「吸収統一」という言葉が刺激的で、「平和統一」が曖昧なら、「自由統一」という言葉を使うべきだ。「自由」は赤たちも拒否できない用語だ。すべての生命体は自由を属性とする。自由という意味の中には平和も入っている。「自由統一」という話を拒否する勢力は、自動的に反民主勢力であるだけでなく反平和、反生命勢力になる。李大統領は「自由」を禁忌語にしてはならない。