中国東北部地域で流通される麻薬はほとんどが北韓産

中国は北韓との親善関係のため北韓産麻薬に比較的寛大
日付: 2010年12月17日 11時13分

自由アジア放送
「氷(ice)」と呼ばれる北韓産麻薬が中国東北部地域に広く流通されて中国に深刻な脅威になっているとアメリカの中国専門家が指摘しました。アメリカの民間研究機関・ブルッキングス研究所のヨンアン・チャン(Yong-an Zhang)博士は、今月初め研究所のインターネットホームページに掲載した文で、北韓産麻薬は中国東北部地域に深刻な脅威になっていると強調しました。
 
チャン博士は、北韓で生産される大部分のメタンフェタミン、すなわちヒロポンが中国東北部地域に密輸された後、北京や天津など中国内陸へ運搬されると言い、特に北韓と国境を接している吉林省の延辺朝鮮族自治州と遼寧省の丹東市が北韓産麻薬の中国への主要流入通路であると説明しました。
 
チャン博士は、特に吉林省は北韓産麻薬密輸取引の通路だけでなく中国内最大の麻薬市場の一つになっているとしながら、過去3年ないし5年間、延辺朝鮮族自治区で消費された麻薬の大部分が北韓産であるという中国学者の研究結果を紹介しました。
 
チャン博士は、国境地域での麻薬取引を北韓当局が支援しているかは確実でないが中国当局は北韓との親善関係のため北韓産麻薬問題に対して比較的寛大な姿勢を示していると指摘しました。だが、北韓産麻薬の流入に脅威を感じた中国当局は、最近特に吉林省を中心に麻薬取り締まりを大幅強化していると説明しました。
 
チャン博士は、中国東北部地域で麻薬の消費と流通が活性化すれば麻薬の供給が増加し、北韓内での麻薬生産がさらに促進され、国際的な麻薬密売組織が中国東北部地域に進出する可能性も大きくなると憂慮しました。
 
チャン博士は、多少逆説的ではあるが、仮に、北韓が改革と開放に出て北韓と中国間の国境貿易がさらに活性化されれば、北韓産麻薬の中国への搬入も大きく増えると予想しました。
 
チャン博士は、北韓産麻薬のため生じる問題を防ぐため、中国はまず北韓当局に対して麻薬の生産と密輸を徹底に取り締まることを要求し、北韓産麻薬の流入と中国内取引に対する取り締まりも大きく強化しなければならないと指摘しました。
 
チャン博士は、また、中国は韓国と日本、ロシア、そして米国と一緒に北韓産麻薬の密輸取引を防ぐため関連情報を交流するなど協力せねばならないと勧告しました。
 
一方、中国、山東省の威海衛市の人民裁判所は今年8月、麻薬を密輸して中国で販売した嫌疑で検挙された北韓人1人に無期懲役を宣告し全財産を没収しました。また、今年3月、中国延辺朝鮮族自治州の公安局は北韓人5人が含む国際麻薬密売組織を摘発し検挙しました。
 
 
*写真は20036月韓国の釜山港で摘発された北韓産ヒロポン80キロ

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