金成昱
自由統一を図式化すると、アメリカの力を借りて中国の干渉を排除しながら北韓の政権を解体し住民を救うことだ。政権でなく住民を救う努力をする間、自由、情報、お金も入り大量脱北、情報拡散、市場拡大をもたらし、この雷管は朝鮮労働党の崩壊を促す。
北韓の未来は北韓住民自らが決める。だが、労働党が崩れた後の北韓の未来は、「人間の尊厳と価値」が保障される自由、人権、民主主義、法治主義という普遍的体制になるしかない。北韓の体制が南韓の体制と同様になる日、南・北の理念が一つになる日、統一はなされる。分断そのものが、民族が違ったためでなく、理念が違ったからだ。
北韓政権を平和的に解体することが統一政策の大前提だ。これは意外に簡単だ。北韓は「閉鎖」によって、偽りに基づいた体制を作り、殺人、暴力、恐怖という道具を使ってきた。北韓の閉鎖を突き破り、事実、真実、真理を入れれば、北韓政権は耐えられない。北韓人権を強調し、脱北者救出と地下教会への支援に力を注ぐ努力は、全てが閉鎖を突き破るためだ。結局、自由統一のため北韓政権を打ち壊すのだ。
大韓民国の国家意志は、北韓独裁体制の保障でなく政権交替(Regime Change)へと果敢に変えねばならない。表面的な南・北韓関係は柔軟に推進しても、金正日政権を終わらせる対北作戦(Operation)を展開することだ。対北作戦(Operation)は、いわゆる戦争でなく工作、つまり心理戦による統一だ。この過程で「急変事態」が発生しても、統制された内波(controlled inplosion)へ誘導すれば良い。
よく政権交替(Regime Change)を戦争と同一視する論理がある。これはオペレーション(Operation)の概念がないためだ。国防部が敵の南侵略を阻止する盾なら、国情院は敵の司令部を麻痺させる槍だ。国家情報院が、政権でなく国家の番人として対北機能を正常化させてから北韓の急所を衝けば、平和的な自由統一が可能だ。大韓民国は事実、真実、真理、つまり自由を北韓に伝播する義に徹した努力に集中すれば良い。
1.北韓政権を解体する具体的作戦(Operation)の核心は、事実、真実、真理を北韓に入れることだ。ラジオ、ビデオ、USB、紙ビラ、音声ビラ(小型MP3型のオーディオ装置)、聖書手帳および各種韓流コンテンツを大量に入れる。対北風船を利用した「物布作戦」や朝中国境地帯の朝鮮族を通じる方法などを総動員する。
住民への「直接的」支援ルートが確保されれば、米・とうもろこし・小麦粉・救護物資など多様な支援も可能だ。これが真の人道的支援だ。政権を助ける「偽善」から住民を助ける「真の善」に変えるのだ。以上の活動は北韓内の市場機能を育て、北韓政権の統制力を弱める二重の効果もある。
放送を通じての「対北民事作戦」は、もっと積極的な形だ。過去KBSの社会教育放送は、北韓の大学生の間で最高の人気があったと脱北者たちは証言する。深夜の12時を過ぎてこの放送を密かに聞きながら自分たちが絶対独裁体制の下で生きていることを悟ったという。
政府は、公営放送の対北機能を復活させると同時に、自由北韓放送、北韓改革放送、VOA、RFAなど既存の対北放送も積極的に活用せねばならない。対北放送は、北韓で急変の兆しが見られる時は全面的に拡大せねばならない。やらねばならない。
対北放送の内容は、住民たち、特に北韓の次世代のエリート集団が大韓民国を選択するように誘導する最も破壊的な工作だ。内容は、「北韓内の改革・開放」を鼓舞し、「反金正日クーデタを扇動」するか、「韓国との併合」を鼓舞するなど多様なことができる。
2.二つ目は、中国内で家畜のように売られている脱北者たちを救うことだ。南韓に定着する脱北者の数が今の2万人から10万人規模になると北韓政権は揺らぐようになる。
今500万ウォン(*40万円程)あれば、北韓から1人を脱北させてソウルに連れてくることができる。北韓住民救出事業を職業とする組織が多い。500万ウォンさえあれば、成功率は90%を超え、早ければ15日で韓国に連れてくる。南韓のキリスト教徒らが北韓政権に捧げる「鳳岫教会」(*平壌の偽教会)への献金(?)ほどを、脱北者救出に使っても北韓政権は崩れる。
3.三つ目は、北韓内の反体制勢力、つまり「親韓勢力」を育てることだ。これは自由統一の費用を最小に減らす最善の方策だ。
ある脱北者は、「お金さえあれば、北韓内に親韓組織が作れる。お金さえあれば、1個師団も脱北させられる」と言った。1個師団は難しいだろうが、1個中隊は可能だという人々が多い。
北韓の腐敗はこれを可能にする。昨年のワールド・バンクの国家別腐敗指数統計によれば、世界で最も腐敗した国は海賊の天国であるアフリカのソマリアだ。腐敗国家のトップ10ヶ国は、2位の北韓に続き、ミャンマー、アフガニスタン、赤道ギニア、スーダン、イラク、チャド、ジンバブエ、ギニアの順だった。
北韓の腐敗は、統一のチャンスだ。事実、真実、真理の方に立った大韓民国のお金で、北韓住民を覚醒させ組織することができる。決定的瞬間に「親韓勢力」が立ち上がって北韓政権を片付け、さらに大韓民国との自由統一を宣言させることだ。北韓政権が、南韓内の親北勢力を育てて「連邦制」で赤化統一を試みてきたモデルを逆に適用するものだ。
これは、高麗に新羅を譲って「後三国」の統一を成し遂げた「敬順王(*新羅の最後の王)モデル」だ。金正日の後萎縮した北韓権力層に、対北支援という餌を駆使しながら、彼らに統一後の政治的補償を約束して大韓民国に内応させることだ。最も安全で、かつ経済的な自由統一の論理だ。
4.四つ目、脱北者支援策を積極的に講じねばならない。企業の「脱北者雇用法」の推進も考慮する必要がある。
脱北者の支援は一個人を助けることに終わらない。脱北者1人を助ければ、その人が扶養する北韓内家族4人を助けることになる。金正日政権を助けて、武器の開発と対南工作に使うことになるお金を、脱北者支援に使うように韓国の宗教界の流れを変えねばならない。これも「偽善」から「真の善」への進化だ。真の統一への投資だ。
脱北者が「韓国で成功している」という話が北韓に入ってこそ、さらに多くの脱北者が生まれる。北韓住民が、決定的瞬間に東ドイツの住民のように、「われわれは南側の兄弟たちと一緒になる」という選択もできる。
5.五つ目、北韓人権運動を南韓で起こさねばならない。中国で性の奴隷として売られている数十万の同族の娘を救う運動と政治犯収容所の解体要求運動および公開処刑、嬰児殺害、強制堕胎など強制送還された脱北者を相手に行われるあらゆる非人間的蛮行を金正日が止めるように圧迫せねばならない。国軍捕虜および戦時中や停戦後北へ拉致された人の送還も含まれる。
1970‐80年代の韓国の「民主化運動」は、外国からの一言の支持発言が大きな力になった。北韓住民が、体制転換期に韓国との自由統一へ進むためには、北韓人権を絶え間なく言い続けねばならない。政府の公式行事はもちろん、同窓会、登山会、釣り会などあらゆる集いで北韓人権を宣言せよ!私たちの生がどれほど祝福されたものであり、死んでいく同族らの前でどれほど恥ずかしい祝福であるかを話さねばならない。
教会を陣地にしよう。南韓でのキリスト教の集会で、北韓人権に対する無関心と利己心を悔い改める叫びが出なければならない。このような行事が蚕室体育館で毎月一回ずつ、2年間続けられたら、北韓内で意味のある変化が起きるだろう。何より、北韓同胞が大韓民国を代案の権力として思い、慰労されて、(南韓を)選択するだろう。
6.六つ目、金正日政権に与える対北支援を中断せねばならない。北韓は、人民経済である「ウォン貨」経済と、宮廷経済ないし軍・党の経済である「ドル」経済でできている。金正日はドルで上層部を管理し武器などを購入する。ドルが無くても人民は生きるが金正日と上層部は困る。
金正日がドルを稼ぐ方法は、ドルの偽造、タバコ偽造、麻薬密売、にせ物の医薬品、そして保険詐欺によるドルの獲得、年間数億ドルに達した朝総連の現金支援だった。しかし2005年頃から金融制裁が始まり、朝総連に対する法的制裁が強化されてから金正日の資金源が塞がった。
金正日の最後の金蔓は、死なないくらいの中国からの物量と開城工団および南北交易で鉱石、砂などの購入費用として入る南韓の現金支援だ。それに、北韓の子供を助けるだの、水害民を助けるだの、甚だしくは教会や寺院を助けると言い与える現物支援だ。現在のすべての対北支援は北韓の暴政と同族の苦痛を延長させることであり、人類最悪の首領独裁を助けることだ。
7.七つ目、以上の全ては実は政治の領域だ。少数であっても自由民主主義の統一を核心綱領とする政治勢力が現れないとどれ一つ容易なことでない。
大韓民国は80年代末に「軍部エリート」の退場後、国益を護る国家指導部が失踪した状態だ。軍部エリートに代えた「民主闘士」たちは、党派性、名分論、腐敗構造の捕虜となって、民主主義の次の課題だった法治の確立に失敗した。最近世論調査で軍部エリートの代表走者だった朴正熙がいつも1位を占めるのは、「文民エリート」の失敗を反証する。
自由統一を通じて大韓民国を一流国家へと跳躍させるという政治勢力こそ、建国と近代化に継いで先進化を成遂げられる。7千万民族のため、富も、名誉も、生命も捧げる偉大な指導者の誕生がすべての問題解決の鍵になる。