「同族殺し合いの悲劇も、別れて過ごした60年間のとげとげしい風波も血肉の縁を引き裂くことはできなかった」―10月30日南北離散家族再会が13カ月ぶりに再開された。この日、北側再会申請者97人と南側の家族436人の、合わせて533人は金剛山離散家族面会所で夢に描いた血肉に会った。再会場は喜びと悔恨の涙が交差した。北は再会を理由に50万トンのコメ支援と30万トンの肥料支援を要求した。(ソウル=李民晧)
北側の兄ソン・ギルヨンさんに会った弟ソン・ジングさんは再会の最中に気絶した。
今度の再会では北側再会団に6・25韓国戦争で北に連れて行かれた韓国軍捕虜4人が含まれ、目を引いた。
その事情は数奇だ。
南側家族は政府から戦死通知を受け、祭祀まで執り行ったが、再会行事を控え、劇的に彼らの生存を確認した。
再会場に現れた国軍出身者は李ジョンヨル(90)、李ウォンジク(77)、尹テヨン(79)、方ヨンウォンさん(81)の4人だった。北側申請者の最高齢者である李ジョンヨルさんは息子の李ミングァンさん(61)と弟妹に会った。
死んだものとばかり思っていた兄弟が60年ぶりに生きていることを確認して、南側家族はその場に座りこみ、恨多き悲しみの涙を噴き出した。
しかし、これらの出会いはわずか2泊3日。各々胸に積もった痛哭の歳月を解くにはあまりに短い時間でしかない。3日からは南側再会申請者96人が同じく2泊3日の日程で金剛山で北側家族207人に会う。
一方、今度離散家族再会の場に出た国軍捕虜4人は韓国国防部の疾病記録簿には載っているが、韓国政府が北に生存していると推定した500人余りの国軍捕虜名簿には記載されていなかった。北での国軍生存者の実数はもっと多いようだ。
現在北は、北に住む韓国軍捕虜を「転向者」だと主張し、南側が国軍捕虜や拉北者問題を持ち出せば、北は「存在しない問題」として避けている。
国軍捕虜は1994年に帰還した「帰還国軍捕虜1号」故チョ・チャンホ中尉を含め、現在まで79人が韓国に帰って来た。
離散家族を泣かせる「残酷なイベント」と指摘を受けている南北離散家族再会行事は、国軍捕虜問題の解決というまた別の課題を負うこととなった。北側の支援要求のある中で再会を進めた韓国政府の姿勢も改めて問われそうだ。
<写真説明> 離散家族の再会を果たす南北共同事業が10月30日から金剛山ホテルで始まった。始めは北側の面会申請者、後に南側申請者が3日間ずつ肉親と対面する。写真は北の金ジンウォンさん(中央)と抱き合う南の姉妹=10月31日午前(聯合ニュース)