セレモニー的首脳会談は要らない

日付: 2010年11月03日 00時00分

 韓半島をめぐる東アジアの国際状況は開放の前夜にさしかかっているが、最後の抵抗に直面している。北韓の閉鎖体制である。韓半島をめぐるギクシャクを「新たな冷戦構造」と呼び、北韓体制を擁護しようとする論も現れているがとんでもない。東北アジア緊張と対立の原因は北韓の世襲独裁による東北アジア大動脈の硬化現象だ。これを治療し、新状況を開くことが現下の課題である。
 韓半島の状況打開と南北首脳会談を結びつけようとする議論があるが、それは安易に過ぎよう。北韓状況の解決が先で本論である。中国は体制維持の観点から北韓への擁護策を当面の戦略に据えているようだが、北韓の体制改革の働きかけが先行すべきだろう。権力世襲体制を布陣した北韓に対してその数カ月後に首脳会談に臨むというシナリオにも感心しない。周辺国に南北会談の仲介を依頼していると聞くに至っては滅茶苦茶でないか。G20成功への妨害要因をなくすという意味での妥協は姑息なやり方だ。任期2年を残す李明博政権は目先の利益でなく、大局を見据えるべきだ。
 李明博大統領は4月、「会うために会談するようなことはしない。任期中に1回も会えなくてもよいとの立場は今後も守る」と明言した。非核化のための6カ国協議を首脳会談で雰囲気を醸成するというセレモニー的な行動には行かず、合目的的に実践的に運ぶべきだろう。
 首脳会談開催には前提条件がある。今年3月の哨戒艦天安への爆沈攻撃や金剛山観光客射殺事件の謝罪と再発防止に向けた処置などが取られた後のことであろう。

 食糧保障は内政改革問題

 北韓は1年余り後には開くと豪語する「強盛大国」の門を世界に展示しなければならなくなった。そのためには食糧保障を解決しなければならないが、1年余りでできることでない。
 と思っていたところ、金剛山での南北離散家族再会定例化の条件に北はコメ50万トン、肥料30万トンを要求した。再会は離散家族の悲劇を和らげる目的で実現される。これは南北に別れて住む家族とそれを見守るすべての人の苦痛を和らげることが目的だ。北当局が開催の代価を求めるような性質と違う。食糧不足解消の手段に再会行事を利用するくらいなら食糧政策を根本から立て直したらよい。
 封建王朝の代替わりを地で行く権力世襲の弊害は大きい。韓半島の明日のために早く廃止するべきだ。李明博政権はこの問題を指摘するどころか、物的支援を推進することで北韓の世襲を支援しようとしている。

 核依存をやめ非核化せよ

 2度の核実験で核の既成事実化と後継体制を整えた北韓は、6カ国協議でした非核化公約(05年9月)と、核開発継続国連総会演説(9月、朴吉淵外務次官)もあり、非核化はきわめてあいまいな国際公約となっている。最近でも金永南常任委員長の開発続行発言と金正日の非核化発言の間を行ったり来たりさせている。9月末には米シンクタンクが北のウラン濃縮計画が試験的生産に入った可能性を明らかにした。開発は明らかに続行され、放棄のほの字のかけらもない。
 北韓の閉鎖体制は武力を背景にした統一まで軍事力の手の内を明かさない秘密統一戦略からくる。現在、武力の中心は「核」とミサイルである。武力統一を放棄しない北は、核放棄もしないことになる。したがって非核化は不可能ということになる。
 そのような現実にある北と、国際間協議の開催のために、南北間の首脳協議を行うことがいかにピントはずれなことか、頭を冷やさなければなるまい。
 食糧援助も哨戒艦天安への爆沈攻撃や金剛山観光客射殺事件の謝罪、核の放棄が前提である。国内にも恵まれない「同じ民族」がいる。北だけが「同じ民族」ではない。李明博政権は、「わが民族同士」という北政権のスローガンに惑わされるようなことは止め、親北政策との決別という初心を貫き進んでほしい。


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