北韓の3代権力継承に無理が生じ、新指導部が内政解決に失敗した場合、北韓難民が発生すると予測されている。その北韓難民受け入れ計画を韓国軍が立案していることが国防部資料で明らかになった。資料は13日、金玉伊ハンナラ党議員に対して同部が回答した。金玉伊議員室が明らかにした国防部資料によると、韓国軍の難民受け入れ計画は「大規模な脱出難民が発生した場合、韓国政府機関の統制下に組織的な対応が施行され、軍は難民を仮収容および保護し、政府機関に安全に導く」というものだ。まず軍事境界線付近に難民集結所を設け、軍の保護施設に収容したのち、政府の難民収容施設に移送するという。
最大180万人?警戒する周辺国
北の後継体制の安定は「強盛大国」建設への内政改革が基礎になるが、そのための経済政策、通商政策などは明らかになっておらず、成否はきわめて不透明だ。
権力継承とその闘争は、いや応なしに軍部を味方につけざるを得ない。その結果、軍部の意向が大きく反映される。それは韓国への揺さぶりや緊張を高める行為として表れるだろう。米国に対しては、核実験の再試行、ミサイルの発射実験などの示威となって現れ、緊張が高まるかも知れない。内部的には粛清の嵐と党派的な後継争いが避けられない。
今月9日ワシントンで開いた韓米年例安全保障協議会(SCM)で金泰栄韓国国防長官とロバート・ゲーツ米国防長官は共同声明ではじめて「北の不安定事態」について言及した。
国防部はしかし、「わが軍は北韓脱出難民など発生可能なすべての北韓急変事態に備えているが、急変事態に関連する事柄は南北関係と国家の安全保障に深刻な影響を及ぼし得る敏感な事案であり、詳細に申し上げることはできない」と注釈している。
一方、韓国朝鮮大学の韓光洙軍事学教授によれば、北急変事態で陸路・休戦ラインと海上から南に避難する難民はおよそ1万5000人と推定している。
韓国軍によれば、急変事態が発生した場合、休戦ラインと東西海上を越えて南にやってくる難民は1万5000人から20万人と予想されている。現時点の韓国内の脱北避難者は2万人以上。急変事態からさらに北韓が統制力を失う体制崩壊に至れば、予想される難民は180万人から200万人にふくれ、これらの脱北者が韓国や周辺国、中国延辺朝鮮族自治州やロシアに向かうと予測されている。
北からの多量の難民発生は現実問題としてロシアでも検討されている。共同通信によると、1989年のベルリンの壁(東ドイツ)崩壊、ルーマニア崩壊、1991年のソ連崩壊を経験しているロシアでは今年7月、北韓、中国との国境地帯、極東沿海州地方で近隣国からの難民受け入れのため収容テントの設営、医療検査など演習を行った。ロシア非常事態省と国境警備局などは難民の出身国は特定しなかったが、韓半島情勢の変化を想定してなされたという。
滞留する脱北者が15―20万人、脱北2世出生者が数十万といわれる中国は、改革前夜の文化大革命で社会混乱を経験している。その中国の脱北者取り締まり強化から、休戦ラインの開放と難民受け入れは、韓国が進んで行わざるを得ないだろう。北難民はさらに脱北ルートとなっている東南アジア諸国にも及ぶと予想されている。