朝鮮労働党は9月29日、金正日の3男金正恩(写真、聯合)を、党中央委員と党軍事委員会副委員長に選出した。正恩氏は27日には人民軍の大将に指名されており、金正日の後継者になることが確定した。北韓は「朝鮮人民共和国」でなく、世界でも例を見ない3代世襲の「金王朝君主国家」への道を歩みだした。
後継へ党規約改正
44年ぶりに開催された党代表者会の結果、要職は金正日の身内で固められた。身内の人間に権力を継がせ、自身の身の安全を守る「血統の継承」だ。
党中央軍事委員長に金正日が再任、副委員長には3男の金正恩が新任、金正日の妹の金敬姫は、唯一の女性大将になり、政治局員にも抜擢された。
金敬姫の夫である張成澤は、6月に国防委員会副委員長に選ばれたのに続き、党代表者会で政治局員候補と中央軍事委員になった。
党代表者会では、党中央委員124人と党中央候補105人を選出。党中央委員会総会では政治局常務委員5人、政治局員17人、同候補15人、党書記10人、中央軍事委員会19人、党部長14人が選ばれた。
今回の党代表者会では、30年ぶりに党規約が改正された。その序文では「共産主義社会を建設する」という最終目標が削除されたが「マルクス・レーニン主義の革命的原則を堅持する」と改正された。最終目的は「全社会の主体思想化」とし、世襲の正当化を行った。
中国の鄧小平は約30年前、マルクス・レーニン主義のマルクス部分を捨てて改革開放経済を目指し、その後中国の政権は、その正当性を経済成長に置いた。
一方、北韓の党規約改正は中国とは違い、「マルクス・レーニン主義の革命的原則を堅持する」とし、中国のように開放経済を打ち出せなかった。
「共産主義社会を建設」することを放棄していることからも、“金王朝"による政治を目指すことは明らかだ。「共産主義社会革命」という正当性を自ら否認し、強引に3代世襲の金王朝建設を表明した北韓は、狭まる包囲網と住民の不満増加にどこまで耐えられるだろうか。