課題<カギは民族自決と韓米同盟維持>

30%の保守層を代弁する政党を
日付: 2010年09月29日 00時00分

 重要なのは、金日成・金正日への評価がどうなるかです。

 フルシチョフはスターリンを否定しました。鄧小平も81年、中国共産党の歴史を見改め、毛沢東の功は70%、罪は30%としました。フルシチョフと違って70%の功を認めたことで、中国共産党は瓦解せずに改革開放に進みました。賢明で中国的な方法です。
 北韓が金日成・金正日をどう評価するかはそのときの力関係によるでしょうが、私は全面否定されると思います。市場勢力が大きくなってしまったからです。

 韓国はその過程で何ができるでしょうか。
 私を含めた前述の3人は、北韓の優先順位が変わると予想します。現在の北の最優先課題は、韓半島の共産化とそのための韓米連合軍の解体です。いわゆる「連邦制統一」です。米軍が撤退すれば韓国と1対1で渡り合い、政治的・軍事的に勝てる。6・15宣言を実行すれば、共産主義統一ができる。金正日は本気でそう思っているのです。

 金正日が死ねば、共産化よりも住民を食べさせることが第一の目標になります。その過程で核問題や南北間の緊張緩和、韓国人捕虜問題、拉致問題も解決される可能性があります。
 中国はどうでしょうか。中国は北韓への領土的野心は持っていないでしょう。軍事介入もないと思います。ただ、鴨緑江まで米軍がきたり、自由の波が東北部に入るのは嫌うでしょう。

 韓国は民族自決の原則に従って、統一をしなければなりません。周辺国が何を言おうと、韓国が主体であるべきなのです。
 ドイツが統一した際、ソ連はNATOに加盟しない中立的立場であることをドイツに求めました。しかしドイツは、民族自決に則って統一し、軍拡なしにNATOへの加盟を決め、米国との同盟関係を背景に周辺国の不安を解消したのです。
 北韓住民が韓国との統一を望んでくれるよう、韓国は今以上の努力を求められるでしょう。また統一後も韓米同盟は維持すべきです。

 韓国の権力構造は3つあります。政治権力・経済権力・社会文化権力です。政治権力は李政権が掌握していますが、イデオロギー的には中道です。社会文化権力は左派が中心です。経済権力は中立です。韓国の権力構造は決して安心できるものではないと思います。危機を迎えたときに主体的に解決できる人がいないのです。
 危機的状況なのですが、これを危機と思っていないのです。指導者と国民の精神が弱体化することでチャンスを逃し、中国や国内の北韓追従勢力がそれにつけ入ることが懸念されます。

 2012年に韓国では総選挙と大統領選挙があります。自由統一を主導し、社会に支えられる指導者や政党が力を握ることを期待していますが、30%ほどの保守勢力を代表する政党はありません。2012年までに正統な保守政党を誕生させなければならない。それが課題です。


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