趙甲済
李明博大統領の言動を分析すると「6.15宣言」(下に全文)を一度も読まなかったか読んだとしてもその深刻な意味が分からないのが明確だ。分かるならこう行動できない。李明博大統領のために簡単に解説してみる。
<南と北は、国の統一問題をその主人であるわれわれ民族同士が互いに力を合わせて自主的に解決していくことにした>という第1項は、統一の妨害者を統一のパートナーとしたものだ。最初のボタンを掛け間違えた。金正日政権は、南北の自由統一の最も大きなかつ唯一の障害物だ。大韓民国の憲法精神は、反国家団体の首魁である金正日と統一を議論することを禁じている。刑事が殺人犯と額を合わせて一緒に暮らす家を設計するのも同然だ。金正日は民族反逆者だ。李大統領は、去る5月24日の演説で、金正日政権が世界の前で韓民族に恥をかかせていると批判した。金正日との「わが民族同士に」は、内容上「わが民族反逆者同士に」に変質する可能性が高い。
<南と北は、国の統一のための南側の連合制案と、北側の低い段階の連邦制案が互いに共通性があると認め、これからこの方向で統一を指向していくことにした>という第2項は、共通性がないものをあると認めた明白な詐欺だ。「北側の低い段階の連邦制」が目標とするのは南韓の共産化だ。南側の連合制案がわれわれの公式統一方案の中にあるものなら自由統一を指向する。それなら連合制と連邦制の間には何の共通点もない。
「南側の連合制案」が、金大中が個人的に開発した「3段階統一方案」のその連合制案なら、問題が深刻になる。金大中氏が、国家の公式統一方案を勝手に廃棄し私的な統一方案を持って行って敵の赤化統一方案と交配させたことになるからだ。これは憲法を否定することであり、詐欺による国家反逆嫌疑を構成できる。前者なら共通点のないものをあると言った嘘・詐欺であり、後者なら私文書を以て公文書に代えて赤化統一方案を受容れた反逆行為だ。大韓民国の大統領が監獄に行くつもりがない限り絶対に認められないのが第2項だ。
もっと分かり易い言葉で説明しよう。「連邦制案」とは北側の首領独裁体制と南側の自由民主体制をそのまま置いて統一しようということだ。これは汚物と清水を混ぜてから飲もうということだ。真っ赤なインクと清水を混ぜれば白い色になるか赤い色になるか? 民族は同じなのに理念が違うため分断されたのだ。その異なる理念をそのまま置いて統一しようとするのが詐欺でないと考える人が大統領職に就いている。
南・北韓の左翼らが「6.15宣言」を実践せよと合唱する理由は、「6.15共同宣言」通りやれば南韓を共産化できるからだ。「6.15宣言」は赤化統一方案の合意であり、「6.15宣言」実践活動家らは対南赤化戦略の遂行者と見做すべきだ。
李大統領は「6.15宣言」実践運動家を大統領の「社会統合首席秘書官」に任命した。それから彼を「中道の立場で熱心に働いた人」と紹介した。南韓の共産化運動が「中道」なら、李明博政府の「中道路線」は意味論上「赤化路線」になる。 李大統領は自らの話に責任が取れるか? 李大統領は国憲を破壊する気なのか?「6.15反逆宣言の保護者」として歴史に記録されるつもりなのか?
退任まで2年7ヶ月が残った。この間に彼が「615宣言」を公式に廃棄しないと余生が楽でないはずだ。
南北共同宣言文(全文)
祖国の平和的統一を念願する全民族の崇高な意に従い大韓民国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日国防委員長は2000年6月13日から6月15日まで平壌で歴史的な対面を行い首脳会談を持った。南北首脳たちは分断歴史上初めで開かれた今回の対面と会談が互いの理解を深め南北関係を発展させ平和統一を実現するのに重大な意義を持つと評価し次のように宣言する。
1.南と北は、国の統一問題をその主人であるわれわれ民族同士が互いに力を合わせて自主的に解決していくことにした。
2.南と北は、国の統一のための南側の連合制案と、北側の低い段階の連邦制案が互いに共通性があると認め、これからこの方向で統一を指向していくことにした。
3.南と北は、今年の「8.15」に際して離散した家族、親戚訪問団を交換し、非転向長期囚問題を解決するなど、人道的問題を早く解決していくことにした。
4.南と北は、経済協力を通じて民族経済を均衡的に発展させ、社会、文化、体育、保健、環境など諸般分野の協力と交流を活性化し、互いの信頼を固めていくことにした。
5.南と北は、以上のような合意事項を早速実践に移すため、早い時期に当局間の対話を開催することにした。金大中大統領は金正日国防委員長がソウルを訪問するように丁重に招請し金正日国防委員長はこれから適切な時期にソウルを訪問することにした。