「北が半潜水艇で水中爆破」

天安爆沈、専門家はこう見る
日付: 2010年05月12日 00時00分

 韓国哨戒艦天安の爆沈原因が20日、国際合同調査団によって明らかにされる。今回の攻撃は誰がどのように行ったのか、専門家に聞いた。

水中スクーターで接近 兵器は「ユーゴ弾」/惠谷治(ジャーナリスト)

  天安の撃沈は北の特殊部隊の仕業だ。なかなか物証が出ないのは、北の謀略が物証を残さないやり方で実行されるからだ。KAL機爆破(1987年11月)や李韓永殺害(97年2月)事件でも物証はない。だがこれらの事件も北が引き起こしたものだ。過去の北のやり方から天安の撃沈は北の犯行であると見ている。撃沈させたのは魚雷だとの見方があるが、魚雷は前半部は爆発するが後半部は残る。しかし海底をさらっても後半部は見つかっていない。爆発はTNT火薬で200―300キロ相当の爆薬といわれている。フログマンが出て船底に付けて爆破させたと見ている。魚雷であれば見逃すはずがないだろう。工作員が水中で爆薬を仕掛けて起こした。水中スクーターに爆薬を付けて接近したに違いない。脱北者が「ユーゴ弾」と言っている水中爆弾だ。2つに割れた船体が6キロも離れたところに沈んでいたのは爆発と潮流が速いせいだろう。

 作戦を行ったのは偵察総局と海上総局だ。韓国との海戦に敗北を喫し続けているなかで、作戦を何度も試みたはずだ。今回成功したのは「海軍の総力を挙げて取り組め」と金正日がテコ入れし、昨年11月と今年4月25日に部隊を視察している。

 今回の撃沈で思い出すのは、97年8月、韓国から丹東経由で呉益済天道教教領を拉致した事件だ。金正日が「4つの部署の共同作戦で成功させよ」と指示し、4人の部長が合宿して練り上げた作戦だった。その結果、呉氏は「人に気付かれずに北に亡命した」と思わせたが、脱北し亡命した張哲賢氏が実は巧妙に仕組まれた拉致であったことを『新東亜』誌上で暴露した。天安撃沈も偵察総局が海軍を含めた総合力で実行した作戦だ。大青島海戦の敗北で中将に格下げされていた海軍司令官は大将に復帰している。そういうことから見て、今回の撃沈は北の仕業だ。

 もう一つ大事なことは、韓国海軍は1月、水中接近して爆薬を仕掛ける攻撃を警戒せよと指示を出していることだ。艦艇には12ノット走行が指示された。しかし、攻撃当時の天安は6・5ノットで航行していた。北部隊は見張っていて潜水艇が近づけそうな船を狙ったのだろう。RDX爆薬は200キロくらいなら入手可能だ。

金正日を終息できる報復手段を持っている/洪熒(北韓問題専門家)

  天安の艦長は「やられた」と報告した。領海内で哨戒作戦中に轟沈されたから、もちろん韓国海軍の警戒の失敗ではある。今の北側の海軍力は水上艦艇では韓国に太刀打ちできず、水中戦力に頼るしかなくなっている。北側は韓国より30年以上先に潜水艦を保有し運営してきた。最近は先端技術が当然潜水艦艇にも適用されて潜水艦や魚雷の探知はますます難しくなっている。最新の性能そのものが知られていない。在来のソナーではほとんど探知されず、速度も速いステルス魚雷も出現しているという。

 韓国軍当局は初めから北の攻撃であるとして事態に対応してきた。と言うのは、北が今までの海上交戦敗北に復讐すると言い続けてきたためだ。韓国内の親北左翼勢力は北の犯行でないでほしいという願望から今も座礁説などを言っているが、彼らは正常な思考力を完全に失った。慎重の上に慎重を期している「合同調査団」によって天安艦の煙突や艦内外から見付かったアルミ片などから同じ成分の火薬が検出された。金正日には水深が500メートルだったらよかったのに、運悪く50メートルと浅かった。北は韓米の情報や科学能力を軽視した。

 韓国政府は主要国に調査結果を通報するそうだが、問題は、同盟国でもない外国にまで破壊された天安の艦体などを見せる主体性のなさだ。自国の海軍の秘密をばらす国がどこにあるのか。

 韓米両国当局は、天安艦を撃沈したのは北の偵察総局の偵察局と作戦局の合同作戦だという情況をつかんだ模様だ。「国防委員会」傘下に去年作られた偵察総局は、ベトナム戦の第2戦線を作る目的で1968年、青瓦台襲撃やゲリラの大量南派を主導した「対南事業総局」の復活だ。実はこの対南事業総局を解体したのは労働党3号庁舎(対南工作力量)の掌握を図った金正日だった。偵察総局を設けたのは、40年前の「冒険主義」路線への復帰だ。韓国は金正日体制そのものの終息に繋がる報復手段をいくらでも持っている。問題は李明博大統領の意志と、韓国の前に立ちはだかる中国共産党だ。


閉じる