趙甲済
アメリカの権威ある政策雑誌、フォーリン・アフェアー誌2009年11-12月号に非常に注目に値する論文が掲載された。「われわれが必要な核」という題名の記事を書いた人はワシントンのジョージタウン大学の副教授のカ- A. リバーとダートマス大学の副教授ダリルG. プレスだ。この論文は北韓のように核武器を持った国はアメリカと在来式戦争を始めても結局は核武器を使うことになる可能性が高いと指摘した。
米軍が在来式戦争で優勢になれば、核武装した相手(例えば北韓)は休戦を誘導するため核の脅威をするか核兵器を使う可能性があるというのだ。金正日のような核兵器を持った国の指導者らは仮に在来式戦争で負けても自らの運命が惨めになることをよく分かるはずだ。敗戦後処刑されたフセインの運命、米軍に捕えられてマイアミの監獄に閉じ込められたパナマのノリエガ、裁判を待っている間獄死したミルロセビチを見れば彼らの心配は理由がある。アメリカの立場では制限的戦争だが、相手の立場では死活を懸けた戦争だ。独裁者たちは、切迫した心理の捕虜になれば核武器を使いたくなるということだ。
さらにアメリカの新しい戦争概念が敵の核兵器使用の可能性を一層高める。イラク戦争で実証された新概念の戦争は、開戦と同時に相手の司令塔に同時多発的の攻撃を浴びせて戦争指導能力を麻痺させることだ。金正日がこのように気を失うほどやられれば最後の手段として核武器を使いたくなるだろう。やられる側では制限戦だとか、在来式戦争だから核武器を使ってはいけないと考える余裕がないということだ。
二人の筆者は、在来式戦争で圧倒的な優位を確保するためのアメリカの戦術が、相手にとって核武器を使うよう刺激する可能性が高いと警告する。 1991年イラクを攻撃する前に米国のジェームズ・ベーカー国務長官はイラクのタリク・アジズ外相に、「もしイラクが化学、生物武器を使用しないとフセイン政権を打倒しない」と約束した。この約束は戦闘では守られなかった。米軍はフセインを狙って攻撃したが、ある時ほとんど殺せるところだった。
それでは核兵器を保有した国と戦争をする時、敵が核を使うか核を使うと威嚇する時はどうすべきか? 二人の筆者は小規模の核兵器を精密に使って敵の核ミサイルを破壊できる報復手段を持たねばならないと主張した。わが軍の軍事施設に対する敵の核攻撃に対して、報復すると核武器で敵の都市を破壊するのは人を大勢殺すだけで戦略的には非効率的だ。(敵の)核ミサイル基地を大規模核爆弾で攻撃するのも数百万の民間人を殺すだけでなく、ミサイルの破壊率がそう高くない。二人の筆者は、中国の大陸間ミサイル基地を大型核爆弾で報復攻撃すれば民間人が3~4百万人も死ぬという実験結果を紹介しこういう報復は無理だと指摘した。
アメリカは核爆弾で攻撃されても放射能を最小化する精密な小規模核爆弾を使って報復する方式を研究しているという。これを中国に適用すると、700人の死亡者だけで全ての核ミサイル基地を破壊できるという。
二人の筆者は、アメリカがこういう報復能力を保有してこそ敵の核使用や核威嚇を予め防げると強調する。これからは技術の発展によってB-2爆撃機を利用した在来式方法の報復爆撃も可能だという。敵から核武器でやられても米軍は在来式武器を使って敵の核ミサイル基地を全部破壊できるかも知れない。こういう在来式武器と小規模の精密核爆弾を結合させておけば敵があえて核脅威や核攻撃を仕掛けられないだろう。
二人の筆者は、北韓のような核武装集団が核攻撃を試図しないようにする方法は、彼らが核を使った場合、このように報復されることが分かるように報復能力を実際に整えることだといった。
北韓政権が核爆弾に運搬手段まで揃えるようになれば、韓国軍は天安艦爆沈事件のような挑発を受けても果敢な報復攻撃が出来ないかも知れない。われわれが大規模の報復をしようとすれば北韓軍は核を使うと威嚇するだろう(最近北韓軍は同様の威嚇をした)。これを無視して報復攻撃を命令する国家指導部があるだろうか? しかも米軍の支援可否が不透明なら果たして韓国は一戦を辞さない決意ができるだろうか?
核兵器を持った北韓政権は、韓国を攻撃したい誘惑に駆られるだろう。在来式軍事力で奇襲してソウルを包囲し、数百万の「従北勢力」が内応するようにする。10万の軽歩兵旅団の兵力はグライダーで後方に浸透して一大混乱を起こす。北韓はこうしてから「現位置で休戦しよう。もし応じないと核爆弾を使う」と威嚇するだろう。その時、韓国大統領が李承晩か朴正煕なら「決死抗戦」を選択するだろうが、李明博大統領のような人ならどんな選択をするだろうか?
もし、ソウルが包囲された状態で「現位置での休戦」をわれわれが受容れたら大韓民国に弔鐘が鳴り共産化される。
金正日は韓国を奇襲しても核武器さえ持っていれば反撃されないという自信感を持つこともあり得る。この自信感は対南挑発の意欲を励ますだろう。何れにせよ、北韓の核武装は韓半島で戦争危険を増加させるはずだといった点をフォーリン・アフェアー誌の論文が想起させる。
金正日は、核爆弾と「韓国内の従北勢力」という二つの戦略的武器を持っている。われわれは北韓内に親韓勢力もなく核武器もない。韓米同盟が唯一の防波堤だ。韓米連合司令部の解体はこの防波堤に亀裂を入れるだろう。そうして水が漏れ始める時、金正日が二つの神器を信じて南侵しないという保障があるのか?
敵の核爆弾と韓国内の反逆勢力に対するわれわれの戦略は簡単だ。対応の核武装、「従北勢力」の粛清、韓米連合司令部解体の中断がそれだ。
最近の天安艦事態は、北韓政権が核武器と局地的挑発を結合させる場合、韓国がどういう対応策があるのかという質問を突付ける。今回の天安艦事態は、韓国人に「北核と統一問題の根本的な解決策は韓国の核武装にある」という教訓を残す。軍事的には決して韓国に友好的でない北韓、中国、ロシアが核武装をしてわれわれを包囲しているのに、われわれの中からは「国家の生存次元で核武装をせねばならない」という話すら出ないなら、いくら裕福でも奴隷として生きる道しかないだろう。