北朝鮮の「名勝地総合開発指導局」の報道官は8日、金剛山地区にある韓国政府および政府系企業の所有不動産を凍結し、管理担当者らを追放すると明らかにした。先月25日から31日にかけ、金剛山の韓国側不動産調査を行ってから8日目に出された措置だ。
凍結される資産には、南北離散家族の面会所と消防署、韓国観光公社所有の文化会館、温泉場、免税店などが含まれる。追放される管理者は、金剛山観光が中断されている現状ではさほど多くなく、1~5人にとどまる見通しだ。
指導局は声明で、長期間の観光中断により北朝鮮が被った経済的損失は甚大で、観光地区内の韓国不動産と施設をすべて没収しても補償できないと強調。また今回の措置は委任によるものだと明言しており、北朝鮮最高権力機関の国防委員会または金正日総書記の指示による措置だということを示唆している。
民間企業は資産凍結こそ免れたものの、指導局は現代峨山との観光合意と契約は効力を失ったと主張。3月末の不動産調査に参加しなかった現代証券などの事業権もはく奪し、当該企業関係者の金剛山への立ち入りは認めないと宣言した。
消息筋によると、中国の旅行会社と6カ月間の契約を締結し、中国人観光客が金剛山観光地区内の宿泊施設を利用できるよう保障したという。
旅行会社はすでに中国人観光客約1000人を募集。今月17日から20日の間にツアーが始まるとみられる。
韓国政府は観光中断の契機となった08年7月の北朝鮮による韓国人観光客射殺事件の真相究明、再発防止策の策定、観光客の身辺安全保障という3大先行条件を要求しているが、北朝鮮側は、金正日総書記の保障などでこれらの条件は解決済みという姿勢だ。
哨戒艦「天安」沈没の真相究明とも絡み、南北対話の見通しは暗い。
金剛山と並ぶ南北共同事業である開城工業団地事業についても、北朝鮮は全面的に再検討すると脅し的な警告している。