韓日共同体構築の世紀=尹敏鎬氏講演

統一日報大阪地区特別講演会「韓日関係―これからの100年」(上)
日付: 2010年03月17日 00時00分

 本紙主催の大阪地区特別講演会「韓日関係―これからの100年」が8日、市内のホテルで開催された。尹敏鎬・本紙論説委員は、両国の変化に触れつつ今後の課題と対策を提言。後援団体を代表して呉榮煥・駐大阪総領事があいさつした。姜昌萬・本紙社長による最近の北朝鮮情勢の報告も行われた。

講演する尹敏鎬・本紙論説委員
  バンクーバー冬季五輪の女子フィギュアスケートでキム・ヨナが金、浅田真央が銀メダルをとった。100年という歴史のスパンで見れば、これも一瞬の出来事にすぎない。韓日関係の今後100年を考えるとき、どのような視点をもつべきか、個人的な思いも踏まえて考えてみたい。

 韓国強制併合の100年前、誤解を恐れずにいえば、韓国は「負け組」だった。新たな100年には韓国が日本との関係だけでなく、国際社会において「勝ち組」になるのだという信念を、韓国民一人ひとりがもつことが大切といえる。
 韓日の新たな100年を構想するうえで、さしあたり今年11月相次いで開催されるG20金融サミット(ソウル)とAPEC首脳会議(横浜)がポイントになる。世界の目が韓国と日本に集まるとき、両国は隣国同士として、どう世界に自国を見せようとするのか。
 そのためにも、今後の韓日100年を次の4つの視点から成果を積み上げてゆくべきと考える。それぞれ「上流」「下流」の課題をあげてみたい。

 まず「未来志向」という互いの目標について目に見える成果をあげなければならない。上流では韓日の首脳が誠実に行動して目標を実現する。幸い李明博政権誕生以来、韓日のトップは頻繁に話し合う関係が築きあげられた。この関係こそが外交の基本だ。下流では民間ベースの経済と文化交流の自然な拡大がある。これはすでに確実に動き始めており、韓日両国は互いに一番大切にしなければならない関係だということが国民レベルで定着しつつある。

 次に韓国と日本が世界的な経済大国であるとの認識を踏まえて相互に協力する態勢をとることである。上流では、韓日が協力して金融・経済・貿易大国としてのリーダーシップを発揮することだ。それは相互に、また世界に向けても発揮すべきものである。下流では、真の対外援助先進国という地位を確保するための韓日協力体制を構築することだ。韓国は援助国の仲間入りをしたばかりで、その援助額は、昨年でいうと8億ドルにすぎない。日本のそれは10倍の80億ドルという実績がすでにある。

 3番目として韓半島の南北問題解決への韓日の連携強化があげられる。上流では周辺強国、すなわち米中とも役割分担を確立することだ。下流では北朝鮮に対する韓日の協力関係を強固に構築することだ。韓日基本条約を締結した1965年以降の歴史を振り返れば、韓日関係が良好になると北朝鮮は決まって邪魔しようとする。韓日にクサビを打ち込むのが北朝鮮の戦術であることは明らかだ。これをはね返せる強力な韓日関係が重要である。

 最後に、真の韓日・日韓共同体に向けた基盤の構築だ。個人的な思いだが、上流として韓日間を結ぶ理想的な海底トンネルの実現を挙げたい。韓日両国民の相互訪問は500万人時代になり、近いうちに1000万人時代に入るのは確実だ。釜山や博多・山口に出張すると必ずトンネルの実現を思う。下流として市場の共同開放や共通するさまざまな課題への共同対処だ。韓日FTA(自由貿易協定)交渉は農業分野がネックになっている。大統領制の韓国ではトップさえ決断すれば妥結できるが、日本側はハラをくくれるリーダーがいないのが現状だ。しかし新たな100年の早い時期に必ずや市場の相互開放に至るだろう。

<両国の変化と今後の4視点(プレゼンテーション資料より)>

徐々に変わる韓日のテーマ

変わった両国の国内政治環境
☆韓国→2008年2月、10年ぶり保守政権の復活
実利優先の李大統領は日本との関係を従来より大事に。

☆日本→2009年9月、55年ぶり戦後初の政権交代
自民党に代わって民主党の鳩山政権誕生

実利に変わった韓日の経済・人的・文化交流
●世界的金融危機での国際協調=韓国の金融危機と
リーマン・ショックでの協力
●日韓の人的交流=年間500万人交流時代に
●韓流と日流=進む文化面の相互理解と対等意識

今後の韓・日の視点

・お互いに「未来志向」という目標に目に見える成果
 上流:韓日首脳の誠実な行動と実現
 下流:民間ベースの経済と文化交流の拡大
・韓国・日本は世界的な経済大国との認識
 上流:金融・経済・貿易大国としてのリーダシップの発揮
 下流:真の援助国という位置確保のための協力体制構築
・韓半島の南北問題解決への連帯強化
 上流:周辺強国(米一中)との役割分担確立
 下流:北朝鮮に対する韓日の協力体制構築
・真の韓日共同体に向けた基盤構築
 上流:韓日のトンネルの完成
 下流:市場の共同開放、共通する課題への共同対処
今年の焦点
・11月のG20金融サミット(ソウル)、APEC首脳会議横浜会議

 (文責=編集部)


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