北朝鮮が中国と1961年に締結した「朝中相互援助条約」は、両者の軍事同盟の根拠になっている。条約には韓半島の有事時、中国の自動介入を明文化した条項がある。その条項の修正を北朝鮮が求めたと最近、東亜日報が報道した。北朝鮮が唯一の軍事同盟国である中国の支援を願っていないのか、中国側から求められているのかを追った。
中朝相互援助条約第2条は「一方が一つの国家または複数の国家連合から武力侵攻を受け、戦争状態に陥った場合、この条約を締結した当事国のうち、他の一方は直ちに全力を挙げ、軍事的またはその他援助を提供する」と規定している。
この条項に北朝鮮が「一方の要請がある時」という文言を入れることを要求したとするのが、東亜日報の報道骨子だ。この文言が入れば、有事の際、中国は「自動介入」できなくなる。
同紙は北京消息筋の話として伝えているが、北朝鮮側が提案したとみるには無理がある。
まず、北朝鮮の安保条約締結過程から見てそのように見るのは難しい。
1961年6月と7月、金日成はソ連と中国を相次いで訪問し、「朝蘇友好協力条約」と「朝中相互援助条約」を締結した。条約にはともに「戦争時自動介入する」という条項が入っている。金日成が中国とソ連からの軍事支援を受けるために数年間両国を相手に交渉した結果だ。
ソ連との条約は一方の通知のみで破棄ができた。冷戦崩壊後の1995年9月、ロシアは北朝鮮に条約の「延長不可」を通知。北朝鮮が1991年8月にロシアで起きたクーデターを支持するなど、朝ソ関係が悪化の一途をたどっていた名残が残る時期のことだった。
北朝鮮は2000年2月、交渉により「朝露親善条約」を締結した。ロシアの反対により自動介入条項は盛り込めなかったが、その年の7月、金正日はロシア大統領プーチンとの平壌会談で、「自動介入」と同様の宣言を引き出した。
次の理由は、北朝鮮は中国の支援がなければ成り立たないという立場に立たされているという点だ。
北朝鮮は2度の核実験にともなう国際社会からの制裁、貨幣改革の失敗、韓国の対北支援中断などで経済状況が悪化している。そのような状況で北朝鮮が中国との条約の改正を求めることは難しい。
やはり「自動介入」条項の改正要求は中国側から北朝鮮に提示されたと見るべきだろう。
北朝鮮が06年と09年に核実験をしたとき、中国の外交専門家らは、自動介入条項を改正または廃棄しなければならないと主張した。一部ではすでに死文化した文書とする意見もあった。
中国は北朝鮮の冒険主義を認めない。北朝鮮自らの誤りで国際社会から軍事制裁を受けている今、自動介入はしないと圧力をかけているのだろう。
ソウルのある中国専門家は「中国は北朝鮮政権を信頼せず、金正日の突発行動を懸念し、06年に北朝鮮が1次核実験をした時から中国政府案で自動介入条項を修正しようという声が出ていた」と語る。
自動介入条項の改正または廃棄は、容易でない。
(ソウル=李民晧)