|
耀徳収容所 |
政治犯収容所に収監された北住民の人権を焦点にすえた北朝鮮=金正日批判が高まっている。李明博政権発足から2年―親北政権が10年にわたって口を閉ざし、欧米や韓国の民間団体まかせになっていた人権問題はやっと南北関係における解決すべき政策課題のひとつになってきた。
「北朝鮮の政治犯収容所は人権侵害のデパート」と国家人権委員会が韓国政府機関として初めて北朝鮮を告発した。人権委の調査によると、「管理所」と呼ばれる政治犯収容所は北朝鮮内に6カ所あり、最大で20万人の政治犯が拷問や強制労働、日常的な殴打など深刻な人権被害にあっている。
脱北者を通じて実態を把握した韓国や欧米の民間人権団体が国連や「北韓の難民と人権に関する国際議員連盟」(60カ国の国会議員200名が加入)などに訴えてきた事実だが、今回、韓国の政府機関が自ら実態調査を行い公表したことで、韓国政府の対北政策の大きな転換がはかられたことになる。
今回の調査は韓国入りした脱北者を対象に面接やアンケートで昨年4月から12月まで実施された。面接調査に応じたのは、政治犯収容所に収監された経験をもつ17人と06年以降脱北を試み強制送還されたことのある脱北者32人。また昨年韓国入りした脱北者2952人(男性679人・女性2273人)のうち322人にもアンケート調査した。
調査結果によると、収容所は价川(第14管理所=以下管理所番号)、耀徳(15)、化城(16)、北倉(18)、会寧(22)、清津(25)の6カ所。すべて「完全統制区域」と呼ばれる終身収容所で、耀徳と北倉の2カ所は完全統制区域と、有期収容の「革命化区域」にわかれていることが明らかになった。
政治犯収容所は1950年代後半から建設され、70年代には一時13カ所にまで増えたが、その後統廃合で6カ所になったという。
国家人権委員会は、北朝鮮が国連加盟国として国際人権規範を履行していないと批判するとともに、今回の実態調査資料を国際社会に配布して、国連人権委員会や国連加盟国が北朝鮮の人権状況を検討する資料として活用を要請する方針だ。
国家人権委員会の今回の調査結果公表を受け、脱北者らで結成した「北韓民主化運動本部」とキリスト教系の民間人権団体「反人道犯罪調査委員会」は耀徳収容所の革命化区域に収監され身元が判明した254人の名簿を公表した。名簿は運動本部が5年前に公表した121人に、その後両団体が新たに証言を集めて判明した133人を追加したものだ。
両団体はこの名簿を国連高等弁務官室とムンターボン国連北朝鮮人権状況特別報告者に提出する予定だ。