スイスのダボスで行われた世界経済フォーラム年次総会に出席した李明博大統領は、外国メディアとのインタビューで金正日と核問題を話し合うための首脳会談開催を示唆した。北朝鮮は核問題を「米国との2カ国問題」としており、李大統領は「出会いのための出会い、原則なき会談はしない」と述べてきただけに、第3次南北首脳会談開催に言及したことは大きな衝撃を与えた。
李明博大統領は1月28、29日(現地時間)「いつでも金正日総書記と会う準備はできている。おそらく年内に会えるだろう。会うための条件はない」(英BBC)、「私たちは(北朝鮮に)一括妥結方案を提示した。核を放棄するか否か返事しなければならない時期は近付いている」(米CNN)と語った。南北会談に慎重姿勢を示してきた李大統領としては、大きく踏み込んだ発言だった。
李大統領の変化は、南北政府間で首脳会談開催へ向けての調整がかなり進んでいることを示唆している。北朝鮮が核問題を議題として受け入れる可能性が高まったと見ることもできるだろう。
核心議題である核廃棄以外の議題は、朝鮮戦争の韓国人捕虜と拉致被害者の送還と対北支援だ。
朝鮮日報は1日、昨年11月に開城で2回の南北秘密接触があり、合意文の下書きを作るに至ったと報じた。東亜日報は1月30日、対北消息筋の話として北朝鮮の国家安全保衛部が生存している韓国人捕虜と拉致被害者数百人の所在を把握して、彼らの訪韓準備をしていると伝えた。
政府は否定も肯定もしていないが、任太熙労働部長官が昨年10月中旬、シンガポールで金養建朝鮮労働党統一戦線部長と会った事実が多くのメディアによって確認されている。しかし、議題以上に重要な懸案は開催地だ。
過去2回の会談は平壌で開催された。特に2回目は、韓国開催の約束を曲げてまで平壌で行われた。無条件の対北支援を懸念する保守派が「韓国開催なら反対しない」という雰囲気であることや「最低でも中立地帯である板門店で」という国民感情も踏まえ、韓国政府としては韓国開催を実現したいところだ。
問題は金正日が韓国開催を受け入れるかだ。すでに「会うための条件はない」という大統領の発言から、3回連続の平壌開催で妥協すると憂慮する人は少なくない。李大統領が金大中、盧武鉉氏の二の舞を演じて平壌に行くようなことになれば、退陣運動が高まるのは必至だ。
(ソウル=李民晧)