~漁火と鉱炉が街を照らす~浦項市特集①

東海岸に沸騰するメルティングスポット
日付: 2010年01月27日 00時00分

 韓国第2の都市、釜山から東海岸を北上する。距離にして100キロメートル、バスで1時間半走れば、慶尚北道最大の都市、浦項が見えてくる。市の代名詞ともなっているのが、世界有数の鉄鋼会社ポスコ(旧・浦項製鉄所)。「鉄鋼の町」として名高い同市は今、世界的な「観光都市」に変わろうとしている。変貌著しい浦項市を訪れた。

竹島市場
竹島市場

 浦項市の中心にある五叉路を中心に広がる竹島市場は、韓国最大級の活魚販売所となっている。
 浦項は昔から韓国有数の漁業の町で、市場の歴史は古い。時代はかわっても、呼び込みの威勢のよさと魚の活きの良さは昔から変わらない。

 活魚店では店頭の水槽から上げたばかりの魚を調理して提供してくれる。新鮮なさしみとノリ、イカ、クァメギ(ニシンやサンマを潮風で乾燥させたもの)、カニ、タコ、クジラにいたるまで、海産物であふれている。

 また、李明博大統領が少年時代を過ごした場所としても有名。
 李大統領は当時、焼き芋とアイスを売り歩いていたという。
ポスコ

ポスコ

 年間2800万トンの鉄鋼を生産する世界屈指の鉄鋼会社。産業基盤が脆弱だった韓国の歴史を変えた「漢江の奇跡」の一翼を担った企業だ。

 鉱炉内に満ちた蒸気越しに赤々と燃える鉄を見ていると、躍動するポスコの勢いが伝わってきて鼓動が自然と早まる。
 ポスコ歴史館では、1968年の浦項製鉄創立から世界的な鉄鋼企業に成長するまでのポスコの歴史を見られる。着工式の写真にある朴正熙大統領(中央)と創業者の朴泰俊会長(左)の表情からは、韓国経済の近代化に向けた情熱をうかがうことができる。

◆クジラ肉

 漁獲高が制限され、今となっては珍重されるクジラ肉だが、竹島市場では簡単に見つけられる。
 頭から尾の先まで捨てるところはないといわれ、市場で好みの部位を選んで味わうことができるのが最大の魅力だ。

部品素材専用公団

 33万坪の迎日湾産業団地に造成された「部品素材専用公団」は、外国企業の誘致を推進している。
すでにドイツとオーストラリアなどから大型投資が決まっている。部品素材分野が強みの日本企業の関心も高まる見込みだ。

 外国企業は敷地の賃貸料と税金面などで大幅な支援を受けることができる。

 昨年、迎日湾新港が完工。2012年にはソウルから新港までダイレクトで繋ぐ鉄道が完成する見通しで、物流インフラは世界のどの国と比べても遜色ない水準になる。

(浦項=李民晧)


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