趙甲済
李明博大統領は、北韓の新種フルの拡散を防ぐため治療剤のタミフルなどを支援するように指示した。約50万人分の治療剤などを送るのに約200億ウォンがかかるという。この治療剤は、患者の治療に使われず、特権層の風邪薬として使われるか市場で売られて金儲けに悪用されるという憂慮が提起されている。恐らく、間違いなくそうなるだろう。金正日一党は300万人が餓死しても超豪華な生活をする奴らなのに、人民のインフルエンザを心配すると? 牛が笑う話だ。
人民を搾取して肥えている北韓支配層の風邪薬までわれわれが遣る必要はない。200億ウォンを脱北者の救出に使えば、約1万人を脱北させて韓国に入国させられる。今脱北者の救出のため活動する組織は、1人の救出に200万~500万ウォンを使う。国民の税金200億ウォンを使って「労働党」幹部らの風邪を治療するのか、それとも死地の北韓同胞1万人を救出するのか?
北韓住民の中で韓国政府の助けを最優先的に受けねばならない階層は、「朝鮮労働党」の幹部でなく、脱北者または脱北意志のある人々だ。彼らは北韓政権に反対し、大韓民国が好きな愛国者らだ。彼らは努力する人々だ。国家は自助精神がある人をまず助けるべきだ。脱北者たちは自由を得るために命をかける人々だ。国家が命をかけて祖国に来ようとする人々は無視し、そういう人々を逮捕して殺す仕事に従事する人々の風邪薬を提供するならこれは国でない。
朴正煕大統領が「セマウル(新しい村作り)運動」に成功した理由は、「自助精神」のある村を支援し、自助精神のない村は助けなかったためだ。上手くやる村を支援し、上手くやらない村を無視するや、村同士の競争に火がついて全国の農村が目覚めたのだ。
自助精神の持主たちである脱北者たちを救出し、彼らが韓国社会に定着するように助けることに予算を使えば、北韓にこの消息が伝わってさらに多くの脱北者たちが韓国行を決心するはずだ。こうなれば北韓政権は弱化する。のみならず、南韓に来る脱北者が多くなれば従北勢力は萎縮するしかない。北韓の真実が証言できる脱北者たちが、「従北主義者」らの嘘を粉砕するからだ。脱北者10万人が韓国に定着すれば「従北勢力」は終わりになる。
金持ちたちと企業家らが脱北者の救出や定着に乗り出さねばならない。これは体制維持費であり統一のための投資だ。
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南から支援したタミフルが、北幹部層の風邪治療剤に?
薬剤師出身の脱北者、「国際社会が支援した医薬品が下部機関まで伝えられる場合は殆どない」
金・ソヨル(デーリーNK記者)
北韓で新種フルの発病と関連して、わが政府のタミフルなど治療剤の支援が近い内に行なわれる模様だ。李明博政府になって対北人道支援の初めてのケースとして記録される。
12月14日、南・北は板門店で連絡官を通じて、タミフル40万人分、リレンジャ10万人分、10億ウォン相当の手洗浄剤の支援に合意し、これに対する実務的協議を行っていると伝えられた。これは12月8日の李明博大統領の北韓での新種フルの確認と支援方案摸索指示の一週間後のことで、早ければ今週中に支援を完了する計画だ。
緊急な人道支援という趣旨に沿って必要な行政的手続きも迅速にし、伝達手段も最も速い陸路を通じての支援を検討しているという。だが、今まで政府が対北人道的支援に対する分配の透明性を強調してきたのとは違って、今回のタミフルの支援に対してはこの点を問題にしない雰囲気だ。
政府は一応「分配結果報告書」を要求するという方針を決めた。これは受恵者である北韓側がどう使ったという内容の報告書を作成すれば良い形態で、モニタリングとは言えない。形式上の書類処理と見れば良い。
政府が、報告書をもってモニタリングに代えることにしたのは、米やとうもろこしなど食糧と違って、医薬品は発病者の他には必要でないため、流用の可能性が低いとの判断によるものだ。 つまり、新種フルの確診や疑いの患者にのみ支給されるため直接確認の必要はないとの説明だ。
わが政府のこのような判断が、李大統領の指示を履行するための拙速処理ではないか、医薬品も専用や乱用が可能な現実を見逃しているのではないかを確かめてみる必要がある。
一部では、タミフルが栄養剤でもないのに、誰がこれ飲もうとするだろうかとの主張もあり得る。しかし、治療剤が比較的よく揃っている韓国社会でも、風邪症状が現れると無条件タミフルの処方を受けようとする集団心理現象を現したことがある。
北韓で新種フルが流行れば、いわゆる平壌市居住者や高位層であるほど、タミフルを確保しようとする競争があり得る。十分に予想可能なシナリオだ。北韓では指導層といってもタミフルは簡単に手に入る治療剤ではないからだ。
正常な政府なら、高危険地域と高危険群の患者から治療剤を支給するのが妥当だ。これが新種フルを遮断して国民の健康を守る当然の措置だ。しかし、北韓はこのような当然の措置まで疑うしかない社会ということが問題だ。
北韓で保健部門の働き手(薬剤師)として勤めて2002年に脱北した李・ヘギョン(40)氏は、「北韓へ支援された国際社会からの支援医薬品が下部機関まで配られる場合は殆どない」、「モニタリングがなされない場合、今回のわが政府の支援品も平壌を中心に使われる可能性が高い」と予測した。すなわち、発病者の発生可能性が高い国境を接している新義州や、慢性疾患者など高危険群の患者に使われる可能性は低いということだ。
外部世界からの支援医薬品は、北韓社会の特性上、補給機関でまずピン撥ねするのは当然の「通過儀礼」であり、医療現場で幹部によってもう一度取られることが普遍化したというのが李氏の説明だ。このピン撥ねは彼らの健康や金銭的欲求のためだ。
世界食糧計画(WFP)と大韓民国のマークが付いた支援米がそのまま市場に流れたのと同様にタミフルが市場に登場する可能性も排除できない。
分配の透明性を対北人道支援の重要な基準としている政府が、大統領の緊急支援指示のため人道支援基準を自ら捨ててはいないか省みなければならない。