【特集】北送から50年―衰退する朝鮮総連

大規模「脱北」は日本で始まった
日付: 2009年12月11日 00時00分

洪 熒 (本紙論説委員) 

 「北送事業」は東西冷戦時代に、自由世界から共産独裁体制へ集団移住した唯一の悲劇的事件だ。金日成・金正日王朝は、彼らの閉鎖的な体制を維持するための奴隷労働力として北送事業を推進した。同時に北送者とその家族を人質として朝総連から搾取・収奪を行った。

 特に、金正日は自らの権力構築過程で秘密資金を調達するため、組織的に朝総連を搾取した。金正日の外部世界への依存と、搾取の“中毒症"は、朝総連搾取から始まったと言えよう。

 90年代に入って本格化した脱北は、南北間の自由と独裁体制間の競争に対する北韓同胞の「審判」だが、大規模の「脱北」は実は日本で始まったと言える。そしてその遠因はほかでもない北送事業だった。
 北送開始から50年が経った今日、朝総連系の在日同胞は当時の5%程に減った。事実上の消滅だ。

 これこそ北送事業や「首領独裁体制」に対する朝総連同胞たちの反撃であり、抵抗と拒否、日本においての「脱北」だった。もちろん平壌側はこの事実を徹底的に隠している。「首領」の直接指導による「海外同胞事業」の惨憺たる失敗など到底認められないからだ。
 消滅しつつあった朝総連がまだ残っているのは、金大中と盧武鉉が朝総連組織の延命を助けたためだ。

 我々は金正日と朝鮮労働党と朝総連に、北送事業の罪過を問わねばならない。「民族共助」という詐術に騙されて北送事業を謝罪もしない朝総連と、接触・交流する民団員は、北送者と北韓同胞、そして朝総連組織から脱退した数十万人の元朝総連同胞の敵になるだろう。


閉じる