北朝鮮、デノミを断行―「タンス預金」吸い上げ・・・

域内に混乱と衝突
日付: 2009年12月11日 00時00分

北朝鮮のデノミは韓国でも大きく取り上げられた。ソウル市民の関心も高まっている
 北朝鮮で先月30日、デノミネーション(デノミ、通貨切り下げ)が行われた。それにともない6日まで、北朝鮮内で旧100北朝鮮ウォンに対し新1ウォンのレートで交換が行われた。今回のデノミは、通常のインフレ対策という目的以上に、北当局の管理・統制目的の方が大きいと見られている。

 北朝鮮当局は02年7月の経済管理改善処置以後、食糧や工業製品、住宅等の価格をヤミ市場に合わせた。しかし食糧などの流通は増えず、インフレが進行している。
 労働者の平均月給(3000ウォン台)ではトウモロコシ2キログラムしか買えず、主に女性がヤミ市場で商売をして家計を支えている。副業を合わせ、1世帯の平均月収は4~5万ウォンといわれる。

 当局の統制がきかない市場の拡大により、台頭しだした中産階層(個人商売で富を蓄えた個人と新興富裕層)が自宅に保管している「タンス預金」を狙い撃ちしたもので、中産階層の遮断と計画経済に戻すことが目的と見られている。
 事実、交換限度額は1世帯で10万ウォン。その後1人5万ウォンの追加交換が行われたものの、4人家族の場合、約2カ月分を残し、吸い上げられた。ただ、交換限度額やレートはたびたび変更されたようで、混乱ぶりをうかがわせる。

 朝鮮日報の報道によると「平壌市は外貨使用を禁じる公示が出ており、今回の処置により物価は約10倍上昇し、特に1キロ2000ウォン水準だったコメの価格は4万ウォンに、500ウォンだった豆腐1丁も1万ウォンになった」と伝えられた。
 別の消息筋によると、デノミ実施後、取り締まりが大幅に強化されたにもかかわらず、北朝鮮の住民は公然と怒りをあらわにして、暴動が起きているという消息もある。

 今年5月から続いている「150日戦闘」と「100日戦闘」により、北朝鮮住民はそれまで細々と行っていた「端畑」(大規模農地の一部)での私的耕作ができなくなり、食糧不足が深刻化していた。今年秋には銃を持った軍人が警備する国営農場が襲われたという未確認情報もある。そこに追い討ちをかける形で、今回のデノミは実施された。

 市場が委縮し、インフレが進行した場合、住民の生活はますます苦しくなる。食糧危機が再燃しかねない。
 中朝国境地帯には通常の倍の数の兵士が約25メートル間隔で並び、脱北者が出ないように警備を行っている。


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