柳根一(漢陽大学待遇教授)
南北対話を最も早く、最初に始めた人物は? こういう試験問題を出したら、今日の多くの若者たちは多分「金大中氏です」と答えるかも知れない。だが、いやいや、彼は朴正煕大統領だった。1970年が過ぎる頃、大韓赤十字社総裁の崔斗善氏は、朴大統領の意図を受けて、南・北の離散家族探しを北側に提案した。それが南北対話の開始だった。それから30年が経って、その南北対話は金大中-盧武鉉時代を経ながら、平壌の統一戦線戦術に手綱を取られてしまった。
李明博大統領が南北対話を再開する心算のようだ。それなら李明博大統領は去る10年間の南北対話の方式を受け継ぐのではなく、それを克服し、是正する南北対話をやらねばならない。
1) 南北対話の概念から設定し直さねばならない。正当な南北対話は、南と北の違いを前提とした1対1の対座であって、左・右の合作でない。
2) 南北対話を、平壌が主導する韓半島の汎左派統一戦線へと牽引しようとする反大韓民国の策動は断固として抑止せねばならない。
3) 北がやろうとする方向に同調しないと対話が断絶されるのが怖くて、北に引きずられて行くような南北対話はこれ以上やってはいけない。
4) 「6.15宣言」と「10.4宣言」に拘束されてはならない。北側も「南北基本合意書」を破棄したことがあるではないか?
5) 対話が、北側の一方的な意地に直面する場合、われわれが先に対話の中断を宣言することも必要だ。
6) 南北対話をショー(show)の舞台にしてはならない。南北対話はショーでなく、徹底した実務型にやらねばならない。大統領からそういう誘惑に負けてはならない。
7) 南北対話をやるほど、大韓民国のアイデンティティの教育、正しい歴史観の教育をもっと徹底的にやらねばならない。南北対話をするといって理念武装を解除してはいけない。(南に来た金基南が、「冷戦時代とは変わらねば...」云々した。では、自分たちはなぜ内部的に冷戦時代の反南教育と宣伝扇動を続けながら、われわれにだけ理念武装の解除を要求する話をするのか?)
8) 遣れるものは全部与えて、頬を殴られるバカな南北対話を払拭せねばならない。貰うものなしでは与えるものも無いという原則を立てねばならず、それを北に行動をもって周知させねばならない。
9) 南北対話に事寄せて、わが言論と市民社会の批判機能を封じ込めようとする企図を、政府も言論-市民社会も拒否せねばならない。わが言論と市民社会は、南北対話とは別個の次元で、例えば北の人権惨状を批判する自由をわずかでも侵害されてはいけない。
10) 南北対話をするほど、われわれ内部の親北勢力の反逆を厳重に粉砕せねばならない。それを口実にして北側が対話を拒否する場合、われわれも断固と対話を中断せねばならない。北はともすれば「尊厳なわが体制を誹謗した」云々したりする。われわれも尊厳なわが自由民主の憲政秩序に対する彼らの挑戦を赦してはならない。
この全てを一言で要約すれば、それは和而不同だ。金大中‐盧武政権はこれを意図的にやらなかったため、南北対話を反逆の遊び場にしてしまった。
自由民主・市場経済の番人-ニューデーリ