金成萬(星友会・在郷軍人会諮問委員、元海軍作戦司令官)
10月20日付朝鮮日報の社説「2012年4月17日から戦作権を行使する準備はできているか」を読んで全的に共感する。昨今の安保環境と国の経済条件を考慮する時、戦時作戦統制権の転換は時期尚早だ。もし予定通り2012年4月17日に韓米連合軍司令部が解体され、「戦作権」が転換される場合、韓国は大きな安保危機に直面する可能性が大きい。だが、こういう事実をいざわが国民は詳しく知らない。わが国防部と言論が「戦作権の転換」という用語だけを使い、「韓・米連合軍司令部の解体」という言葉を使わないためだ。それで、去る30年間、韓国で戦争の再発を予防してきた韓国の戦争抑制力である「連合司令部」が解体される事実を知っている国民が殆どいない。
「連合司令部」は1978年創設され、人員は数百人に過ぎない小さな規模だ。任務は、平時に「停戦協定」の管理を通じて韓半島で戦争を抑制し、抑制に失敗した時は、韓米連合軍を作戦統制して北韓軍を壊滅し、韓半島に韓国が望む自由民主主義の統一を齎すことだ。追加で西海5島の防御と北韓急変事態発生にも完全に備えている。 北側が2009年5月に追加核実験や弾道ミサイルの大量発射(20余発)で韓国を威嚇しても株価が上がるのは連合司令部の見えない役割のお陰だ。
連合司令部の解体時の問題点は? 今後、韓国軍と米軍が連合作戦をしない。大規模の米軍が韓国に支援にきても効率的な作戦が不可能だ。戦争の原則である「指揮の統一」ができず、連合作戦がやれないめだ。したがって戦争抑制力の弱化による韓国戦の再発の可能性、駐韓米軍の全面撤収の可能性、全面戦発生時の戦勝保障の不可、韓国主導の自由民主主義統一の困難などに対して悩まねばらない。それでアメリカは当初から韓国の安全のため連合司令部の解体に反対した。今でも韓国が要求すれば延期の可能性を残している。
だが、連合司令部もいつかは解体されねばならない。韓半島が韓国主導で統一された後、東北アジアにNATOのような連合防衛組織ができ、韓半島においての戦争(紛争)の憂慮が解消される時、連合司令部は当然不要だ。だが、今は解体を推進する時期でない。しかも、北側の核武装によって、南・北韓の軍事力均衡が完全に崩壊した。これに、金正日は2012年まで「強盛大国」の建設と「連邦制統一」を完成すると公言している。金正日の健康悪化、経済破綻などで2010~2020年の間に北韓内「急変事態」が発生する可能性も大きい。
南北韓はまだ休戦状態だ。国家安保が丈夫でこそ経済成長と民主主義の発展も可能だ。わが国防部は今「連合司令部の解体計画」を国民に詳細に説明せねばならない。そして全ての言論媒体が「戦作権の転換」の代わりに、「韓米連合軍司令部の解体」という用語を使うことを期待する。