趙甲済
行動をもって示されない北の「金家政権」の話は全てが嘘だ。北韓政権の言葉と約束通り物事が進んだら、金正日はソウルを訪問したはずで、核武器は廃棄されたはずで、李明博大統領を逆徒と呼ぶようにもならなかったはずだ。
北韓政権は、「(板門店での)斧蛮行事件」、「武装共匪(特殊工作員)」の浸透などを犯した後、国際的圧迫が強まればひとまず「遺憾」を表明する。この「遺憾」の表明に感激した韓国政府は、「謝罪を受けた」と自慢しながら警戒態勢を解除する。
1983年、全斗煥大統領(当時)を殺そうとアウンサン・テロを起こして、17人の長・次官級の高官たちを殺した平壌政権が、翌年は韓国の水害被害者を助けると米を5万トン送った。その翌年は最初の南北離散家族の面会があった。その翌年、北韓政権はアジア競技大会を妨害するため、金浦空港で爆破事件を起こして5人を殺した。そうしながら、ソウルに密使を送って全斗煥大統領に頂上会談を提案した。その翌年にはソウル・オリンピックを阻止するため大韓航空機爆破テロ事件を起こした。
1996年、東海岸に潜水艇で「武装共匪」を浸透させた時、金泳三政府が強硬対応すると彼らは謝った。1998年、また東海岸に浸透した潜水艇が発見され、北側工作員たちは全員自殺した。
こういう北韓政権が先月の9月初め、「黄江ダム」を無断放流して6人の韓国人を殺した。政府は謝罪だけを要求し、昨日彼らは謝った。政府は感激した様子だ。臨津江事件はこれで終わったと宣言し、大盤振舞いの対北支援を再開する態勢だ。
6人の自国民の命を嘘と交換するということだ。本人にとっては生命が地球ほど尊い。その6人の命に対する尊重心が政府の行態からは全く見られない。自由民主主義の基本は、個人の生命に対する尊重だ。個人の生命と人権は国家ぐらい、時にはそれ以上で尊い。李明博政府は自由民主主義の行動倫理を示していない。
奴隷は、主人から毎日10回ずつ打たれてきて、1回だけ打たれると有難いと思う。北韓政権から殴られるのに慣れた韓国政府は、北韓側が殴ってから謝れば、「謝って下さってありがとうございます」と言いながら涙を流す。典型的な奴隷根性だ。
李明博政府が国家であるなら、少なくとも次のような措置を取らねばならない。
死亡者1人当り1000万ドルの懲罰的賠償を要求し、応じないと北韓政権を国際法廷に立てる。
実現可能で検証可能な再発防止対策を立てる。
その以前は、米一粒、とうもろこし一袋も北韓に与えてはいけない。
そういうことをせず、常習的な嘘を「真の改過遷善(悔改める)」として受容れ、対北支援を再開すれば、これは6人の命を奪った犯罪行為に賞をあげることになる。