自由統一だけが「北核」を解決する!

われわれとしては当面の脅威を最大限抑制しながら、「恒久的解決策」を講じるしかない。
日付: 2009年10月05日 07時47分

金煕相(韓国安保問題研究所理事長、 元大統領国防補佐官)
「グランド・バゲン」、そ戦略的構想が必要
李明博大統領が「グランド・バーゲン」との、「北核」問題の「一括妥結」方式を提案した。十分に妥当な提案だ。かつて「6.25戦争」の休戦協商代表だったターナージョイ提督は、北側の協商戦術を「サラミ戦術と瀬戸際戦術」と言った。「太陽政策」の10年間、非核化と対北支援が段階別に結ばれていた既存の処理方式が、北側のこういう手法に籠絡されて、「北核」の解決どころか、逆に原爆開発を後押ししてきたという批判が少なくなかった。「6者会談」の5ヶ国の合意ができれば北側も無視はできないはずだ。折しも採択された国連の安保理決議1887号を見れば一層希望的だ。「北核」問題がまた空回りするのではないかという憂慮もあるが、国際社会の環境と雰囲気が変わったから、北韓側にもう一度ぐらいの機会を与えるのも差支え無いだろう。
 
まず、国際的共助体制を固めながら、対話中でも対北制裁を続ける必要がある。国際社会が共に作って築いた政策的枠組みや効果を確実に維持し、北韓側が「グランド・バーゲン」に応じてくるように最善を尽くすことだ。「グランド・バーゲン」のその次の戦略的構想も準備せねばならない。国際社会は北韓が核(原爆)を廃棄すれば北韓側の安全を保障し、経済発展を支援すると約束した。しかし、今日の北韓体制の不安定性は金正日体制そのものの矛盾のためだ。北韓経済の軟着陸も体制が変わり開放しない限り不可能というのが通説だ。われわれが解決できる問題でないのだ。さらに今日の北韓で、「核(原爆)」は金正日体制の正統性の証拠かつ権威の象徴であり、暮らしの手段である同時に対外交渉力の土台だ。いわゆる「赤化統一の原動力」でもある。北韓(金正日)側が一括妥結案に応じて、核(原爆)を放棄するかは依然と疑問に残る。
 
当然、北韓は今までのパターンを維持しようとするはずで、必要なら極限的挑発と脅迫も辞さないだろう。予想より高い緊張が造成されるかも知れない。われわれがこれに屈服すれば、単に太陽政策の時代の失敗を繰り返す程度を超えて、自由大韓の未来に回復できない傷痕を残すことになるだろう。グランド・バーゲンのための努力以上に、こういう非常状況にも徹底的に備えねばならない。それが歴史から学ぶ戦略的態度だ。
 
特に「現実的に北核を認め、拡散だけを防げば良い」という認識が拡散しているため憂慮せざるを得ない。このことに完璧な対応をしなければならない。最も至急なことは、言うまでもなく北韓の核脅威に対する抑制だ。抑制というのは本来心理的なものであるため完璧な対備策というのは無く、この時点で最も現実的な対策は連合軍司令部として体系化された韓米軍事同盟体制の強化というのが専門家たちの一致した見解だ。「連合司令部」を解体しても「核の傘」は提供されるというが、実は連合軍司令部がソウルに位置する自体が最も効果的な核の傘である。
 
ところが、それもやはり恒久的な対策とは言えない。しかも、われわれに対する北の核威嚇はアメリカの核の傘でもカバーできない部分があまりにも大きい。例えば、「北核」は北韓側の多様な挑発をそそのかしながら、それに対応するわれわれの効果的な対処は難しくし、有事の際のアメリカの支援も困難にするだろう。平和が維持されても奴隷的な平和になり、北韓側の「間接侵略」の効果は極大化されるはずだ。どうやら韓国が「北核の人質」になって次第に韓半島赤化の道に巻き込まれて行く可能性が大きいのだ。それでは、今日われわれとしては当面した脅威を最大限抑制しながら、遅すぎないように「恒久的解決策」を講じるしかない。
 
2007年2月、リチャード・アーミテージは、2次報告書で「韓半島が自由民主体制で統一されない限り、北韓の恒久的核廃棄の可能性は殆どない」と指摘したが、多くの専門家がこれに共感する。われわれが好むと好まざるとに拘らず、韓半島の統一・繁栄の未来を急がざるを得ないという意味ではないか? 北韓がグランド・バーゲンを受容れないと国際社会もここに共感する可能性がある。時代を見抜いて、極めて賢い戦略的構想をもって新しい未来を主導的に開かねばならない時だ。
 
政府が来年の主要20ヶ国(G20)会議を誘致した快挙もそのような知恵と努力の結晶体だった。今回の成功はそれで一層われわれに希望を与える。しかし、およそすべての機会は準備された者にだけ訪れるものだ。われわれの戦略的構想と準備が完全なほど、特にその意志が確固とするほど、北韓側が応じてくる可能性はより高い。そうでないなら、新しい民族史的機会を準備していかねばならない。
*この文は東亜日報に掲載された内容です。
 

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