趙甲済
平壌政権の権力序列2位である金永南「最高人民会議」常任委員長が、日本の共同通信との会見で、「金正雲」後継説を否認した。彼は「革命伝統を継承する問題は重要だが、これと後継者問題とは関係がない」としながら、「現時点では議論されていない」と話した。金永南はまた、「金正雲後継者説」が、「外国言論が作った話」という趣旨で説明した。金正日の三男の名前が金正雲(김정운)なのか、金・ジョンウン(김정은)なのかも定かでない。
数日前、趙甲済ドットコムが、<「金・ジョンウンの後継者確定」は「金日成死亡説」以後の最大誤報になりそうだ>だと報道した通りだ。金・ジョンウンを後継者として推戴しようとする如何なる動きもなかった。国内外報道機関と国家情報院が報道・報告した内容は、推測だったか誤判だったか、故意に操作したものだ。
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「金・ジョンウン後継者確定」は、「金日成り死亡説」以後の最大の誤報になりそう。
北韓専門家たちや高位脱北者たち、「如何なる動きも無い」‐趙甲済(2009.09.06 15:35)
独裁者金正日の三男の金・ジョンウンが後継者として確定されたという国内外言論の報道は、「金日成死亡説誤報」以後の最大の誤報になる可能性が高くなった。今まで北韓政権の動向を綿密に観察した専門家たちや、今も平壌側と接触が可能な高位脱北者たちの判断を総合すると、「金・ジョンウン後継者確定説」を支える資料は皆無だ。
「金・ジョンウンの後継者確定」が正しいなら、まず北韓労働党の宣伝煽動部が動かなければならない。金正日の意志を貫くこの組織が、後継者擁立の前段階である思想事業を始めなければならない。ところが何の動きもない。
組織指導部も動いていない。したがって、何の公式的な動きや文書や活動がない。「金・ジョンウンの後継選定事実を盛込んだ外交電文を海外駐在公館に送った」というニュースも根拠のない主張であるのが明らかになった。
金正日の三人の息子たち、金・ジョンウン、金正男、金・ジョンチョルの中、誰もが現在公式的な職位がない。金・ジョンウンは金正日と同じ宿所で暮すが、外部活動をほとんどしないという。もちろん、金正日を遂行するとか国防委員会の幹部に任命されたという報道は全て事実でないということだ。
「金・ジョンウン後継者確定説」の震源地は、南・北韓の情報機関と推測される。北側の対南工作機関は工作の一環として、南韓の情報機関はそれなりの政治的計算から「金・ジョンウン後継者説」を広めたようだ。親北媒体と聯合ニュースがこの説を拡散させるのに主要な役割をした。
下の三件の聯合ニュースの報道内容は確認されない。金正日は7年前、後継者擁立の必要性を提起した側近を粛清したことがあるという。金正日が後継者を確定したがるという如何なる兆候もない。
<北韓の国家安全保衛部が、アメリカ女性記者事件を「スパイ事件」と名前付けて、ビル・クリントン元米国大統領の北韓訪問を通じての解決を、金正日国防委員長の後継者に内定された三男のジョンウンの業績として称賛していると、ある対北消息筋が9日伝えた。
最近、国家安全保衛部は内部講演会で、今回の女性記者事件に対して「金・ジョンウン大将の知略でクリントン元米大統領が太平洋を渡ってきて、将軍様(金正日)に謝罪した」、「これは全て金・ジョンウン大将の非凡な叡智と卓越した戦術によって用意されたものだ」という内容の講演会を開いたことが知られ、今回の事件を金・ジョンウンの治績だと宣伝する活動が北韓社会全般に広まるものと見られる。>(聯合ニュース)
<(ソウル=聯合ニュース)金正日の後継者として急浮上中の3男、金・ジョンウンの側近らが最近金正日の長男の金正男を暗殺しようとしたが、中国の反対で失敗したと伝えられた、とKBSが15日報道した。
KBSは中国側消息筋を引用して、金正男暗殺計画が最近隠密に進められたが、事前にこれを察知した中国の反対でブレーキがかかったとし、中国側は金正男を隠れ場所へ逃避させて保護中だと伝えた。>(聯合ニュース)
<国家情報院は、去る1日、国会情報委員たちに、「北韓当局が金・ジョンウンの後継選定事実を盛込んだ外交電文を海外公館に送ったと知っている」と報告したと、複数の情報委員が伝えた。今まで「後継者金・ジョンウン」の可能性は何回も提起されたが、政府当局が関連情況を公式確認したのは今回が初めてだ。
国家情報院は、去る2月25日の情報委の全体会議で、北韓の後継構図と関連して、「3代目への世襲が可能なものと見られる」と展望しながらも、後継者として「金正雲」を確認はしなかった。
情報委員の民主党朴智元議員は、この日、ラジオ放送に出演し、「昨日(1日)、政府からそのような(北韓の後継構図)動きがあり、金正雲を出して忠誠の誓いを行っているという通知を受けた」と話した。> (聯合ニュース)
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「金正雲後継者説は信頼できない」
西側の専門家たち、「推測や噂の一つであるだけ…北韓社会で末子が正統性を認められることは容易ではない」ノ・ジョンミン(自由アジア放送)
金正日が三男のジョンウンを後継者として決めたという報道内容と関連して、西側の北韓専門家たちは信頼性が足りないという理由でこれを否認しました。後継者問題を巡る数多くのうわさの中の一つにすぎないという評価です。ノ・ジョンミン記者が報道します。
米海軍分析センター(CAN)のケン・ゴス(Ken Gause)対外指導者研究局長は、最近金正日が三男の金正雲を後継者に指名したという報道と関連して信憑性がないとし、一言で一蹴しました。
アメリカで金正日指導体制や後継研究の最高権威者として知られるゴス局長は、今まで後継者問題と関連して数多くの噂が流れたが、大部分事実無根と判明された過去の事例を見ると、北韓当局の正式発表でない今回の内容も信頼性が持てないと釘を刺しました。
ゴス局長は、信頼性を持てない理由として、金正雲の若さと、全く無かったのと同然の指導者への授業を挙げました。金正日が権力を受け継ぐ時は、20余年間父の金日成前主席の側近らを集めながら自らの勢力を固める十分な時間を持ったが、ジョンウンはそうでなく、困難があるという説明です。
二十五歳という若さの正雲が、後継者に指名されたとしても、金正日がこれから20年間生存して、そばにいなければ、金正雲は結局権力闘争に撒き込まれるようになるとゴス局長は展望しました。
ゴス局長は、また今まで北韓の政治構図に登場したことの無い金正雲が次期後継者に指名されたとすれば、噂でなく権力構造の中で確実な位置(status)を示さねばならないのに、そういう動きもないという点も一つの例として指摘しました。こういう金正雲を後継者に指名したのは、金正日としても大きな賭博(big gamble)を敢行したことだというのがゴス局長の説明です。
オーストリアのウィーン大学の北韓専門家のルィディゴ・フランク(Rdiger Frank)教授も、北韓当局の何の正式発表も無い金正雲後継者説は信頼できないと強調しました。
フランク教授は、自由アジア放送(RFA)に北韓社会は今まで金日成と金正日の二人の強力な指導者のみがあっただけ、三番目の指導者は無かったと指摘し、後継者問題と関連して何の準備もなかったと説明しました。金正日が父の金日成の後光を利用して統治権を受け継いだ人物であるように、自分の息子のジョンウンに権力を世襲したいなら、金正日自らが自身のアイデンティティをもっと固めねばならないのに、今は経済的困難と健康上の理由でそうできないため、ジョンウンに権力を譲るのも容易でないと展望しました。
アメリカのヘリテージ財団のブルース・クリンノ(Bruce Klingner)選任研究員も、北韓と韓国当局の公式発表が出るまでは信じ難いと言い、ジョンウンの後継者説に対する信頼性に疑問を提起しました。クリンノ研究員は、今まで集団指導体制や3代世襲など金正日以後の統治体制に対する推測と噂が盛んだったとし、これを慎重に判断せねばならないと指摘しました。
クリンノ研究員は、また金正日の信任を得られなかった長男の金正男や柔弱な性格の次男金正哲の代わりに末子の金正雲が後継者に指名されたことは、伝統的な北韓社会で正統性を認められるのは容易でないことだと付け加えました。
韓国の通信社である「聯合ニュース」は、匿名の消息筋の話を引用して金正日が三男の正雲を後継者に指名したと去る15日報道しました。韓国の情報当局は、「金正雲が後継者になったという情報を持っておらず、事実が把握されたこともない」と話しました。[2009-01-20, 08:37]