「宇宙強国」への道は遠く、険しかった。韓国領から打ち上げた最初の宇宙ロケット、ナロ号(KSLV―I)は、衛星を軌道に乗せられず、発射は失敗となった。世界10番目の「宇宙ロケット打ち上げ国」になることを願ってきた韓国人は、肩を落とした。7回の発射延期という紆余曲折を経たナロ号は、韓国とロシアの共同開発によるものだ。失敗の一因として、ロシアとの技術協力関係に問題があったことが挙げられている。(ソウル=李民晧)
失敗の直接の原因は衛星のフェアリング分離
8月25日午後5時、ナロ(羅老)号は全羅南道・高興郡の外羅老島に設置されたナロ宇宙センターから、轟音とともに空に昇っていった。その瞬間、韓国は歓声に包まれた。宇宙センター周辺の2万5000人をはじめ、全国各地で人々は発射の様子を見守った。平日の昼間にもかかわらず、テレビ視聴率は30%に迫った。
しかし喜びも束の間、教育科学技術部は打ち上げ1時間後、「ナロ号に搭載された科学技術衛星2号が軌道進入に失敗した」と発表した。“スペースクラブ"入りの夢が崩れた瞬間だった。
ナロ号失敗の直接的な原因は、2段目のロケットに搭載された衛星のフェアリング(空気抵抗を減らすための流線型の覆い)がうまく切り離せなかったことにある。ロケットは330キログラムのフェアリングをつけたまま飛んだことで、予定の軌道に進入できなかった。衛星は、大気圏内で燃え尽きたと推測されている。
宇宙ロケットは通常、発射後に部品を分離しながら宇宙に到達する。分離システムの不具合によって衛星の打ち上げが失敗することは、宇宙開発の先進国でも頻繁に起きることだ。航空宇宙研究院が1957年から2003年までの外国の失敗例を分析した結果、全体の12・6%が何らかの分離失敗によるものだった。
ロシアが開発した1段目の液体燃料ロケットは成功し、韓国が開発した2段目の固体燃料ロケットは失敗した。
ロシア側はナロ号発射当日、「1段目のロケットは成功」と発表、責任論を事前に回避しようとする動きを見せた。
韓露両国は正確な原因究明のために共同技術委員会を構成したが、分析結果が出るまでは相当の時間がかかる見込みだ。
発射までの過程を振り返ると、両国の見解の相違は避けられない状況だった。
ナロ号は、ロシアとの技術協力交渉と発射台システム部品の供給、1段目のロケットの燃焼試験の技術的問題などで、7回も日程が延期された。最後の3回の延期は、ロシア側の一方的な要請によるものだった。ロシア側が真夜中にファックス1枚で発射延期を伝えてきたこともあった。ロシアが担当した1段目のロケットの不具合と一方的な延期通知に韓国はお手上げ状態だった。
両国間の技術保護協定により、韓国側は1段目のロケットだけでなく、発射監視システムの技術移転も受けられなかったことが根底にあった。