金成萬(予備役海軍中将、元海軍作戦司令官)
言論報道(2009.7.30)によれば、ソウルに位置した特戦司令部が2012年まで京畿道利川地域へ移転する計画が確定したという。国防部は、韓国土地公社との間で、「慰礼新都市」(ソウル松坡区)内の特戦司令部と機務部隊を京畿道利川市へ移す内容の移転合意書に署名したと発表した。特戦司令部の近くにある南城台軍ゴルフ場も閉鎖される予定だ。これが事実なら安保次元で利敵行為に該当する。その理由はこうだ。
国防日報(2009.4.15付けの1面)に掲載された、「国防部、特戦司令部はソウルに留まらねば」という記事を下記のように加減なしにそのまま引用する。
<国防部は、4月14日、国会国防委への懸案報告を通じて、特戦司令部が安保的、また作戦遂行の側面でソウルに留まらねばならないと明らかにした。国防部はこの日、「北韓の特殊戦部隊が約6万人増加した18万人に編制され、首都圏と後方地域への攪乱能力が拡大した」とし、「このような側面から特戦司令部と3旅団はもちろん、これらの部隊を支援する8248部隊がソウルに残らねばならない」と説明した。
また、世界的に大都市に対するテロの可能性がなお存在し、2300万人が住む首都圏に災害や災難が発生する時、即時的対応が必要だと付け加えた。これは北韓の特殊戦の脅威とテロ、大規模の災難の時、首都圏の防護および応急救護や二次災害の予防のため、よく訓練され準備された部隊の適期投入が必要なためだと国防部は強調した。
作戦遂行の側面では、特戦司令部と3旅団は作戦反応の速度保障のため、有事の際直ちに投入可能な現位置に駐屯する必要があるというのが国防部の立場だ。この部隊はテロや災難が発生した時、1時間以内に投入されねばならない核心戦力であり、年平均20回以上、城南のソウル空港の警護と警備作戦任務を遂行している。特に、ソウル空港の近くに駐留することで、空港を利用して兵力を迅速に展開できる作戦即応性の確保が容易である長所があると国防部は説明した。
また、南城台ゴルフ場は、有事の際、ソウル空港を通じて展開する韓国軍への前方支援およびアメリカ軍増援戦力と韓国軍部隊の軍需物資支援に必要であり、有事の際特殊戦部隊の任務遂行のためのヘリの離着陸場としての機能を遂行するため現位置にあるべきだと国防部は説明した。
国防部は、「新都市の計画樹立段階から、特戦司令部と3旅団、8248部隊は現位置に駐留し、増援軍への軍需物資支援のためのヘリ着陸場の必要性を提起した」、「だが、非戦闘部隊の学生中央軍事学校と総合行政学校・体育部隊・情報学校の語学処は計画の通り移転を推進中」と言った。
特戦司令部のソウル駐屯問題に対しては、国土海洋部など政府の関連部署と協議を通じて合理的な方案を模索し、特戦司令部の移転地域として発表された京畿道利川地域は、地域経済に助けになる方向で代案を用意するため努力すると国防部は明らかにした。>
以上のように、わが国防部は「参与政府(盧武鉉政権)」の時から、特戦司令部の移転に反対し続けてきた。しかも今韓半島の安保状況は悪化するばかりだ。北韓は2009年1月、「対南全面対決」と南北間の政治・軍事合意事項(不可侵宣言を含む)の無効化を宣言した。4月からは、2次核実験と弾道ミサイルを大量発射(18発)し、「停戦協定」の拘束力喪失まで言及している。このような厳しい時期に、韓米連合軍の戦争遂行力の弱化をもたらす国防政策を確定することは、北側に誤った信号になる。韓米軍事同盟にも否定的なのは明らかだ。こういうことがまさに利敵行為であり、反逆に該当する。
国民の代議機関である国会は、この問題を直ちに議論しなければならない。そして聴聞会を開いて、「参与政府」時期からこの問題と関連して国家安保を破壊した者らを明確にしなければならない。特戦司令部と機務部隊などの移転計画は国家安保のため直ちに取消さねばならない。